満月の夜の集会所【2j3j】 (ページ4)

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† Premonition ページ4

そんなこんなで約1年前に彼女 Aを拾ったのだ。
あの後お風呂に入り、綺麗になったAを見て驚いた。かなり整った顔をしていたのだ。
A曰く母親が絶世の美女だったとの事。
色濃く血を受け継いだのだろう…。
美人というよりは可愛らしいが似合う女性に育ちそうだ。

この1年で彼女のことを沢山知ることが出来た。
Aは生き血を飲んだことがない。
血を飲むのが怖いのだとか…、むしろ怖がられる対象は私たちヴァンパイアなのだが。
そしてAは童話が好き。
とくにプリンセスなどの出てくる御話。王子様に夢を見ているらしい。彼女は可愛らしいのできっと王子様が見つかるだろう。
あとは…ぬいぐるみがすき。
大きなぬいぐるみを抱えて寝ている姿はなんとも愛らしい。

そして彼女を知ると同時に自分についても理解が深まった。
どうやら私は家族が大好きらしい。
両親と暮らしていたのは遠い昔の事で思い出すことが出来なかったのだが、Aと暮らす中で愛情が限界突破しているように感じる。家族愛とは素晴らしいものだ。

そんなAの事を剣持やギルザレンにも自慢してやろう、と考えていたのだが、幼きを慈しむ男を恐れ踏みとどまったのだ。

…ここ1年ですっかり生気を取り戻した部屋の前に着いた。
中からはカチャカチャと物音が聞こえる。
何か作業でもしているのだろうか？申し訳ないが、集会の始まる夜に向けてお約束の確認をしなくてはならない。

カ「Aちゃん？入るよ？」

『カザキおねえさま！どうぞ！』

中に入るとAはなにやら輝きを放つものを作っている最中だった。

カ「邪魔してごめんね？今日の集会についてお話がしたくて」

『大丈夫だよ！準備お手伝いしなくてもいいの？』

カ「食器が割れたら危ないから大丈夫！Aちゃん、集会の日のお約束は覚えてる？」

『覚えてるよ！大丈夫！』

カ「お約束、言える？」

『集会の日はお外に出てはいけません！』

カ「正解！偉いねAちゃん」

本当はお友達を作るいい機会なのかもしれないが、相手が相手だ。少しづつ慣らす方が得策だろう。
Aには1人寂しい思いをさせてしまうことになる、どうにかして寂しくないようにするには…
と項垂れていると、頭に温もりを感じた。

…Aになでられている？