満月の夜の集会所【2j3j】 (ページ16)

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‪✝︎ Glow ページ16

Aにとって初めての集会から3ヶ月後。
賑やかな吸血鬼たちが帰ってしまった館は、以前と変わらないはずなのにも関わらず異様にシンとしているように感じていた。

カ「いやあ、Aちゃんの成長は早いわね」

『そうなのかな？…たしかに、もうカザキお姉様とあまり変わらないくらいかもしれないけれど…』

3ヶ月。人間にとっては3ヶ月などという期間では小さな成長しか遂げることは出来ない。
それに対しヴァンパイアは吸血する為に使用することのある "擬態能力" の影響なのか、幼少期には本人の意思に結びつき成長の速度に個体差が現れる。
ゆっくりと末っ子の立場を楽しむヴァンパイアもいれば、スクスクと育ち独り立ちしようとするヴァンパイアもいる。状況に応じて性別まで変えてしまえるのだから、信じられない程自由な生き物なのだ。

Aの場合は、憧れのプリンセスに近づきたいと願っていたのでそれ相応の年齢へと身体は変化を続けていたのだった。

カ「とっても可愛いわよAちゃん、きっとスグに王子様も来てくれるわ！」

『…、王子様…。』

ふと、3ヶ月前に現れた紫髪が頭をよぎる。
思い出というものは美化されがちなのである。
食事中のマナーや品のある佇まい、サラリと薔薇を差し出してくる所、どこを取っても…口を荒らげている時以外は…まるで王子様のようだった、と思い出してしまう。

『剣持さん、とか、王子様みたいじゃない？』

カ「ッグ！？」

『！？』

ふと思ったことを口に出しただけだと言うのにカザキお姉様は口に含んでいた紅茶を吹き出してしまった。…その反応は剣持さんに失礼ではないか？

『どうしたのお姉様…』

カ「かたなさんだけは辞めておいた方が良い！断言出来るわ！！」

『え、どうして…？』

カ「うーん…趣味嗜好…って、人それぞれなのよ…。」

『…？うん…？』

ちょっと何を言っているか分からないが、お姉様はこれ以上詳しくは教えてくれなかった。