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剣「…Aちゃん、Aちゃん。」
キャッキャとザレンさんがオジサンかオジサンじゃないか物議を醸している目の前の2人を眺めていると、隣から声が聞こえた。
はーい、と声の主を見ると 座高の差を埋めるようにこちらをのぞき込む剣持さんと目が合った。
『ゎ、』
剣「?ふふ、僕たちと会えて楽しいの?」
『楽しいです!とっても!』
剣「そっかぁ、それはよかった!最初は泣きそうになってたから心配してたんですよ?」
『それは…おねえさまとの約束、破っちゃったから…』
剣「そうだったんですね…、まあ!その結果僕達と巡り会うことが出来たんです、良かったじゃないですか!」
『ふふ、そうかもしれないです!』
剣「…僕も、Aちゃんと出会うことが出来てとても嬉しいですよ。」
『えへへ、嬉しいです』
スっと体勢を変え、コクコクと飲み物を飲む剣持さん。耳についている羽の飾りがキラキラと輝いている。
剣「どうしました?なにか着いてます?」
『いや、耳飾り、綺麗だなと思って!』
剣「耳飾り…?……あぁ!そういえばそんなのつけてきましたね、忘れてました。」
『えぇ…?』
自分の着けてきたものを忘れるなんてことがあるのか。と思ったが、確かに自分の目からは見えないから忘れてしまうのかもしれない…。
それにしても、おねえさま以外のヴァンパイアの羽は見た事がないがきっと…
『綺麗なんだろうなぁ、羽』
剣「…羽、ですか。」
『あ、広げて欲しいってわけではなくて…その…』
剣「ふふ、そんなに慌てなくても。そうだなぁ…羽、かぁ…。」
と、口元に手を添え悩み始めてしまった剣持さん。
…手を添えるのは癖なのかもしれない。
なんて考えていると
剣「…あと5年」
『へ?』
剣「あと5年経ったら、教えてあげてもいいですよ?」
『教えるって…』
剣「5年後のお楽しみです。楽しみにしていてください。」
『今教えてくれたっていいのに!そもそも教えるって何を…』
剣「何も今しか会えないわけじゃないんですよ。それを証明する約束にもなるでしょう?なんなら毎月会いに来たっていいですし…」
『む…分かりました、楽しみにして待ってます…』
剣「ふふ、いい子ですね。…さて」
姿勢を戻した剣持さんは 何事もなかったかのように料理を食べ始めた。
丁度こちらを見たおねえさまと目が合った。
何を話してたの?と聞かれたけど
何でもないよと答えてみた。
秘密を教えてもらうみたいでワクワクしていたのだ。
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作者名:はむ | 作成日時:2023年3月25日 11時