満月の夜の集会所【2j3j】 (ページ9)

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† Destiny? ページ9

you side

…やってしまった。
あんなにカザキおねえさまに駄目だと言われたのに、外に出てしまった。
おねえさまに謝らないといけない。

…集会はどのくらいかかるだろうか。
始まる前にお説教しに来てはくれないだろうか。
寝てやり過ごそうにも、ウサギのぬいぐるみ、みるくちゃんも居ないし眠れない。

トン、トン…

…階段を上がる音だ。この階にはお客様は来ないと言っていた。ならば来る人は決まっている。
きっとすぐに扉を開けるだろう、と扉の前で待つが中々カザキ様は現れない。
…どうしたのだろうか。足音の様子からすると…迷っている？
カザキ様がこの館で迷うはずがないのに。
すぐにAは気がついた。この足音の主はカザキ様では無い。

先程目が合った男性だろうか。優しそうな印象ではあったが、何しろ目が…少し、怖かった。
隠れるべきか、いや、物音を立てなければ気付かれないだろうか…。
などアタフタと頭を悩ませていると

ガチャン。

『ぁ。』

扉が開く。気づかれてしまったのか。相手は誰なのだろう。カザキ様、おねえさまであってほしい。

扉からちらりと見えた、フワフワな耳。
…みるくちゃんだ。
という事はきっとカザキ様が連れてきてくれたのだ！

『みるくちゃん！』

？「…おぉ。」

…え。
耳に届いたのは、カザキ様の美しい声ではなかった。
いや、美しいのだが声質が違う。この声は…男性の声だ。

『あ、っ…』

？「こんにちは。…いや、こんばんはが正しいか？」

どうやら声の主は挨拶に悩んでいるようだがそうじゃない。どうしてここに居るのだろう？
もしかして、カザキ様に頼まれてみるくちゃんを連れてきてくれたのだろうか。

『ぁの！』

？「ん？、はい、どうしました？」

『その子、連れてきてくれたんですか…？』

？「あぁ！はい、可愛らしいお友達ですね。どうぞ。」

快くみるくちゃんを渡してくれた。あぁきっとカザキ様が頼んでくれたのだ。と安堵する。

『えっと、お名前はなんですか？』

？「これはこれは。申し遅れました。剣持刀也です。けんもち、とうやですよ〜。」

剣持刀也さん、なるほど、苗字と名前がある方なのか。ヴァンパイアにはカザキ様…ヴァンパイアカザキ様のように苗字のない方もいる。
ふ、と考えを頭の隅に置き剣持さんの方を見ると、綺麗な薔薇が差し出されていた。