紫陽花の君【オリジナルBL】 (ページ10)

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アオハと出会ってから4週間。

今日は、アオハの誕生日だ。

コウはいつものように病院に直行するのではなく、プレゼントを買いに行った。

アオハは紫陽花以外には無頓着みたいだし、甘い食べ物は好きじゃない。

病室で出来ることも限られてる。

何がいいか、1週間前から困っていた。

コウは病室に着き、ドアをノックした。

だいぶ時間がかかってしまった。

日は暮れ始めている。

こんな日に限って全ての信号に引っかかる運の悪さだった。

「どうぞ」

中からアオハの声がした。

コウは1度、深呼吸をしてドアを開けた。

「コウ…！」

ぱっと嬉しそうな顔をしたアオハの目は赤くなっていた。

両手で持ってるものを落とさないように、コウはベットに近付いた。

「遅くなってごめん、誕生日おめでとう」

「ありがとう、こんなに大きいの」

重くて持てない、と続けて言われたので棚の上に置いた。

コウが買ったのはやっぱり紫陽花だった。

少し遠かったけれど、花屋まで行って買ったものだ。

アオハは棚の上の紫陽花を嬉しそうに眺めている。

「ねぇコウ、白い紫陽花の花言葉知ってて買ったの？」

少し、いたずらっぽい表情をしながら聞いたアオハ。

そんな愛らしい表情に、コウの胸はどくんと反応した。

「あぁ、もちろん」

コウがそう言ったのを聞くと、アオハは少し俯いて、顔は赤く染まった。

「…ありがとう…っ…」

ぽたぽたと、アオハの瞳からベットに雫が落ちた。

コウはアオハが泣き止むまで、背中を優しく撫でていた。