脱獄物語【約ネバ】

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「うへっ

ノーマンが「鬼」だ」


「レイとAは？」


「『パス』」

「チェッ

たまには混ざればいいのに」


『また今度参加するから』

「絶対ね！A！」


私はレイと一緒に木の下で小説を読んでいる


お互いずっと静かだが、喋るときはよく喋る




「また捕まっちゃった〜っ」


気がついたらいつの間にかエマが地面に伏せていた


「ラスト１人で10分持ちこたえたぞ」

『凄いじゃんエマ

新記録』

「くやし〜〜〜

なんで！？なんでノーマンあんなに強いの？」


新記録が出てもエマは全然嬉しくなさそう


「私かけっこじゃ負けたことないのに鬼ごっこじゃ勝てたことないよ！」


エマの周りには沢山“？“が浮かんでおり、全く見当がついていない


「問題

現状ノーマンにあってエマにないものなーんだ？」

「え！？いっぱいありすぎて…」

『今エマが思い浮かべているもの全部違うよ』

「え！Aってエスパー！？」

『誰でも分かるよ』


「戦略だ────」

レイが鬼ごっこは体をフルに使ったチェスだとエマに教えている

「……鬼ごっこが？」

『そうそう』


「やっぱ違ぇなあの4人は」

「あのレベルが一度に4人…

ハウス史上初だって」


「あ〜〜

そりゃママも喜ぶわ

自慢の子」

「勉強も運動も異様にとび抜けてるもんな


中でも断トツの頭脳を持つ天才ノーマン


その天才と唯一互角に渡り合える博識で知恵者のレイ


運動能力は高く、レイ、ノーマンよりは劣るが、天才で尚且つ暗記が得意なA


抜群の運動神経と学習能力で常に他３人に追随するエマ



マジ何食ったらああなるんだよ！！」


『買い被りすぎだと思うよ』


そんな私の声も意味がなく、ギルダの後ろから現れたドンが言った


「要するにバケモンなんだよ


施設(ハウス)が生んだバケモン！」



さすがに私もバケモンと言われたら傷付く


心なしか落ち込んでいると頭の上にレイの手が乗った


慰めてくれているのだろう

なんだか嬉しい


ふと前を見るとコニーがリトルバーニーを抱えてドンと楽しそうに喋っていた


コニーは今日、ハウスを出ていく


つまり、出荷されるということだ


そのことを知っていながら何も出来ないのは悔しい


今まで何度そう思ってきたことか


そう考えている間も笑顔は絶やさない

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