永い記憶の後日談【オリジナル】 (ページ10)

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優しく羽を撫でると、女神は気持ち良さそうにわらった。

また、触り心地も極上でずっと触っていたくなるような感触だった。

「本当に毎日手入れしているんだね。」

感心したようにわたしが言うと、女神がさも当然のようにいった。

「うん。…辻が。」

「え、」

驚愕の事実だった。一緒にお風呂にでも入るのだろうか。お湯とか全部聖水だったりするのだろうか。

「い…一緒に入ってるの…？」

恐る恐る舞奈が聞くと女神はきょとんとしてから噴き出した。

「あははっ！違うよー！出た後に手入れしてもらってるの！！！」

早とちりだなぁ、と言うと女神はお菓子を食べだした。

そして、何となく、先程から気になっていることを聞いてみることにした。

「貴女って何の神様なの？神様でも、色々あるよね？」

女神は、お菓子を食べる手を止め、冷めてきつつある紅茶に自分の顔を映した。

揺れる水面のせいか、彼女の表情を読み取ることはできなかった。

「万能であって、無能の存在。他の神様(かれら)にとっては異例中の異例。全ての世界の線引きをする、唯一無二の存在。」

長めの前髪のせいで表情こそ見えないものの、少し震えがちな声と彼女の纏う雰囲気から、決して良いものではないとわかる。

かけることばの見つからない私をよそに彼女は
顔をあげ、私もよくわからないの、と曖昧に笑った。

「ほら、色々あって疲れたでしょ？一緒に食べよう？」

明るく笑う彼女に今の私はお茶に付き合うことしかできなかった。