結晶が三十七つ ページ39
『…あ…』
次に目が覚めたのは自分の部屋のベッドの上だった。ぼーっとしながらゆっくりと体を起こすと、扉が開いてトントンさんが入ってきた。
Tn「おはよ。気分はどうや？」
『だい、じょうぶです…』
Tn「無理はダメやぞ。」
優しく声をかけてくれるトントンさんはどこか思い詰めた様子だ。どうしたのだろう。
『あの、トントンさん…具合悪いんですか？』
Tn「え？あぁそうやないよ。…むしろ、ごめん。」
『えっ』
唐突に謝られ、私はきょとんとしてトントンさんを見返す。
Tn「あの人混みを軽視してた以前に…Aの体質のこともつい軽視してもうた。少しなら大丈夫やろって俺の判断で…Aをあんな目にあわせたんや。ほんまに、ごめん。」
『そ、そんな、あれは私も途中でトントンさんとはぐれて…！それに、トントンさんは私のことを助けてくれたじゃないですか。』
あれは私が安易に路地裏に入ってしまったのも悪い。もっと早い段階からトントンさんと手を繋ぐなりして離れないようにすればよかったのだ。
『現に私はこうやって無事です。それに私は…トントンさんが助けに来てくれて、嬉しかった。とても安心したんです。だから、あの時助けてくれてありがとう、ございました。』
ぺこんと軽く頭を下げると、ほぅ…とため息をつく音が聞こえた。
Tn「…君はほんまに、優しいんやなぁ…」
そう呟いて、安心したようにへにゃりと笑った。余程私を危険に晒したことを悔いていたのだろう。
『(そもそも…)』
そもそも、私がこんな体質じゃなければ。
『私がこんな中途半端で、無駄に綺麗で、珍しい体質だから、狙われたんです。トントンさんに迷惑もかけてしまって…謝るのは私の方です。私が普通の人間で、普通に貴方達とあって、普通に暮らせていたら…』
Tn「違う！」
『っ！』
私が普通でいたら。そんな言葉の羅列を言ったら、トントンさんは私の肩を強く掴んだ。
Tn「それは、違う。」
『違うって…？』
Tn「Aは中途半端じゃない。ちゃんとした人間や。翼が生えていようと結晶を操れるだろうと、AはAやし、普通とか考えんでええ。俺はそのままのAが全部好きや。それはグルさんも一緒やで。だから…」
そしてぎゅっと抱きしめられた。
Tn「だからAはいつまでもAのままでいてくれ。俺たちが一生守るから。無理に俺たちに合わせんでもええんやで？」
『っあ…』
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すみれいん(プロフ) - きゅるきゅる、ウルル…ここめちゃくちゃ好きです。 (2020年12月8日 23時) (
レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
×(プロフ) - こんなに面白い作品が読めてうれしいです！応援してますヽ(^o^)丿 (2020年11月29日 12時) (レス) id: 2c8e323fdc (このIDを非表示/違反報告)
(´ー｀*)ｳﾝｳﾝ - 好きです。(唐突)頑張ってください。 (2020年11月25日 14時) (レス) id: 79aefbbb5a (このIDを非表示/違反報告)
ラリー - 面白いんじゃあ...続きが気になって死んでまう...(訳:この作品とても好みで面白いです!更新頑張って下さい!) (2020年11月24日 22時) (レス) id: 4e3832928c (このIDを非表示/違反報告)
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