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結晶が三十二つ ページ34

…結局、グルッペンさんもトントンさんも私が教えられて言ったあの言葉の意味を教えてはくれなかった。けれど、エーミールさんに聞いたところこれまたはぐらかされたが、悪い意味ではないようなのでほっとした。この日は借りた本の続きを読もうとページをめくっていた。


『…好き。か…』


エーミールさんに教えてもらったが、一言に好きと言っても色んなのがあるそう。友達として好き。食べ物が好き。物が好き。人として好き。でも…異性として好き。こればっかりは私にはまだ分からない。他の好きの気持ちは分かるんだけど、これだけは。


『なんなんだろうなぁ…』


ゆらゆらと尻尾を揺らしながらそれを知るために恋愛小説とやらを読み進めていると、あるシーンが出てきた。


ちゅ、

「っ!?」
「…好きだよ。好き。だから俺だけを見ててよ。」
「っばか、いきなり何言って…!」
「本気だよ。なんならもう1回キス…したげる?」
「〜〜っ!」


…と言うような。


『…キス。キスって…なんだろう。』


この一文の前後に唇という単語が出てきたので、それを使ったものなのかなというのは理解できた。でもどんな行為なのかは明確に書いていない。読み終わったあともそれがなんだか気になって、もやもやしている時に自分の部屋の扉がノックされた。


Gr「A、入ってもいいか?」

『あ、どうぞ。』


返事をすれば扉を開けてグルッペンさんが入ってくる。


Gr「本を読んでいたところだったのか。邪魔したか?」

『いえ、今読み終わったところなので。』

Gr「そうか。少しお前と話したくてな、今大丈夫か?」

『はい。』


グルッペンさんは座っていたソファの私の隣に腰を下ろすと、ちゃんとここに馴染めたのか、皆さんとは仲良くできているか、不自由はないかとか聞いてきた。もちろん、ここに来てからは毎日楽しいので、それを伝えればグルッペンさんはふっと微笑んで良かったと言った。


『あ…そうだグルッペンさん。』

Gr「ん?」

『キスって…なんですか?』


今目の前に人がいるのだから、さっき気になったことを聞こうと私はそう聞いた。グルッペンさんは驚いたように目を見開くと、目を細め、


Gr「気になるか?」


と、聞き返してきた。その様子がどこか嬉しそうにしていて、私は不思議に思う。


『えぇまぁ…』

Gr「ならば。」


するとグルッペンさんは私の腰を引き寄せ、腕も掴んできた。


Gr「…俺が実際に教えてやろう。」

『…え。』

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すみれいん(プロフ) - きゅるきゅる、ウルル…ここめちゃくちゃ好きです。 (2020年12月8日 23時) (レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
×(プロフ) - こんなに面白い作品が読めてうれしいです!応援してますヽ(^o^)丿 (2020年11月29日 12時) (レス) id: 2c8e323fdc (このIDを非表示/違反報告)
(´ー`*)ウンウン - 好きです。(唐突)頑張ってください。 (2020年11月25日 14時) (レス) id: 79aefbbb5a (このIDを非表示/違反報告)
ラリー - 面白いんじゃあ...続きが気になって死んでまう...(訳:この作品とても好みで面白いです!更新頑張って下さい!) (2020年11月24日 22時) (レス) id: 4e3832928c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ノア | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年11月24日 18時

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