結晶が二十七つ ページ29
どくどくと血液が体を巡る音が聞こえる。まるでお湯の中にずっといるかのように体も熱い。…でも、我慢してる途中から心地よく思うような匂いが2回。そばにあると凄く落ち着く。だからぼやけた頭で必死にそれを引き寄せた。
『あった…かい…』
それらは丁度いいあったかさで、施設にいた時とはまるで違う安心感で辛いのを耐えることができた。そしてやっと治まった時に、私は目を覚ます。
『…ん…』
ぱちっと目を開けると、なんとすぐ側にグルッペンさんの顔があって私はびくりとする。
Gr「あ、起きた。」
『ぅえ…？なんで…？』
Gr「なんでって…お前記憶ないのか？」
『ご、ごめんなさい…私、苦しくて辛くて、ぽやぽやしてて、なんも覚えてなくて…』
慌てて説明しようとしたら、グルッペンさんの首元にある噛み跡に私はまた戦慄した。私はそろそろとグルッペンさんの腕の中から抜けると、すっと深く頭を下げた。
『すいませんでした…』
Gr「！？土下座なんてどこで覚えてきた！？…いや、それより頭を上げろ。何故謝るんだ。」
『だって、無意識に噛むなんて…しかも見た感じ血まで…本当にごめんなさい…』
Gr「あぁそれは…」
と、言いかけたところで扉ががちゃりと開いてトントンさんが入ってきた。
Tn「グルさん飯持ってき…って、なにこの状況。てか歯型！！」
Gr「Aにマーキングされたのをまさかの土下座で謝られていたから宥めてたとこだ。この歯型はその時の。」
Tn「マーキングて。いや発 情期やったしそうはなるわな。」
『も、もしかしてトントンさんにもご迷惑を…ごめんなさい…私、ほんとに必死でなにも…』
覚えてるのは耐えてる時に誰かが部屋に入ってきて何個か質問に答えたことと落ち着く香りを必死に手繰り寄せ身を委ねたことだけ。もしかしたら知らずにとんでもないことをしてしまったのかもしれないと私は謝る。
Tn「ちなみにお前から俺らを呼んだんやけど…それは？」
『おふたりを？はひぇ…全然…あの、すいま』
すいませんでしたと言う前に、グルッペンさんが私の口を指先で塞ぐ。
Gr「違う。お前は何も悪くないし俺達も嫌でやっていた訳じゃない。だからな、A。こういう時は…『ありがとう』だゾ。」
そう言われて私は一旦口を紡いだあと、
『あ、ありがとう…ございます…』
Gr「うむ。それでいい。」
お礼を言えば微笑まれながら頭を撫でられた。
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すみれいん(プロフ) - きゅるきゅる、ウルル…ここめちゃくちゃ好きです。 (2020年12月8日 23時) (
レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
×(プロフ) - こんなに面白い作品が読めてうれしいです！応援してますヽ(^o^)丿 (2020年11月29日 12時) (レス) id: 2c8e323fdc (このIDを非表示/違反報告)
(´ー｀*)ｳﾝｳﾝ - 好きです。(唐突)頑張ってください。 (2020年11月25日 14時) (レス) id: 79aefbbb5a (このIDを非表示/違反報告)
ラリー - 面白いんじゃあ...続きが気になって死んでまう...(訳:この作品とても好みで面白いです!更新頑張って下さい!) (2020年11月24日 22時) (レス) id: 4e3832928c (このIDを非表示/違反報告)
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