結晶が二十六つ ページ28
Gr side
そろそろトントンと変わるべきかと思い、俺はいつもの軍服は脱いで白シャツとズボンだけでAの部屋を訪れる。ノックをして、中に入るとふわっと嗅いだことの無い匂いが香った。
Gr「…？」
Tn「あ、グルさん…」
ベッドの上でトントンがAを抱えながら座っており、心做しか暑そうだ。
Tn「よ、よかった…そろそろ俺もキツいところやってん…」
Gr「トン氏、これは…」
Tn「多分、発 情期特有のやつやろな。他の奴らより耐えれる根性あるとはいえ、DTの俺にはきつい所あるわ。」
Gr「…なるほど。A、少しすまん。」
この香りを理解したところでAの体をそっと持ち上げ俺の方に寄せる。そこで寝ていたであろうAがぱちりと目を覚ました。
『ぁ…とん、しゃ…？』
Gr「お、起きたか。寝ていたところ悪いが交代だ。次は俺がそばにいるから。」
『ん、きゅぅ…ぐる、ぺんさ…』
返事をするように唸るとAはモゾモゾと俺にすり寄ってくる。その間にトントンは部屋から退散した。
Gr「ふぅ…」
触れてみて分かる体の熱さ。余程辛いのだろう。獣人用に抑制剤があるとは聞いたことあるが、なにせ珍しいドラゴンだ。見つかるのを待つよりこうして耐えさせるしかないだろう。
『…ぅ…るぅ…』
Gr「…どうした？」
大人しく体を任せていたAがぴすぴすと鼻を動かして俺の首元にすり寄ってくる。すると次の瞬間、
がぶ
Gr「い"っ…！？」
ぶつっとAの牙が刺さり血がとろりと流れ出る。そしてずろぉ…と傷口に長く厚い、人間離れした蛇のような舌が這わせられた。
『ふー…うるるぅ…ぐる…』
Gr「…！」
何事かとAを見て俺は不意にドキリとした。舌をしゅると動かしこちらを見上げる目は妖艶で、同時に美しさも感じ取れたからだ。きゅるりと細長い瞳孔はドラゴンならでは。相手は19歳のはずなのに、俺には酷く大人に見えた。
Gr「(…確かにこれは、キツい。)」
正直これはトン氏でなくても理性を煽られる。この噛みつきもマーキングに似たようなものだろう。これがもし大先生がここにいたとしたら、迷うことなく手を出していたかもしれない。
Gr「…あァでも、跡を付けられるのは…悪くないな。」
これはそれほどまでに俺に対して警戒心を解いているということ。そして信頼を置いているということ。噛んだことも気にせずにとろとろとまた眠りに落ちていくAを見て、俺はその額にキスを落とした。
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すみれいん(プロフ) - きゅるきゅる、ウルル…ここめちゃくちゃ好きです。 (2020年12月8日 23時) (
レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
×(プロフ) - こんなに面白い作品が読めてうれしいです！応援してますヽ(^o^)丿 (2020年11月29日 12時) (レス) id: 2c8e323fdc (このIDを非表示/違反報告)
(´ー｀*)ｳﾝｳﾝ - 好きです。(唐突)頑張ってください。 (2020年11月25日 14時) (レス) id: 79aefbbb5a (このIDを非表示/違反報告)
ラリー - 面白いんじゃあ...続きが気になって死んでまう...(訳:この作品とても好みで面白いです!更新頑張って下さい!) (2020年11月24日 22時) (レス) id: 4e3832928c (このIDを非表示/違反報告)
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