結晶が二十一つ ページ23
私がここに来て早くも1週間が経つ。すっかり皆さんにも馴染み、不自由ない暮らしをしていた。今日はエーミールさんと共に勉強する。
『こんにちは。』
Em「いらっしゃいAさん。お待ちしておりました。どうぞ中に。」
エーミールさんの部屋に招かれ中に入ると、沢山の本が置いてある、木や茶色を主体としたオシャレな部屋だった。ほんのり紅茶やコーヒーの香りもする。
『…いい香り。新しい紅茶ですか？』
Em「あ、分かります？仕入れたもので、とてもいい香りのする紅茶を買ってきたんですよ。やはりあなたは鼻が利く。」
カチャカチャと陶器が擦れる音が響いて、エーミールさんは紅茶をカップに注いでくれた。
Em「さ、紅茶を交えて早速やりましょうか。」
『はい。』
そこから時折休憩を入れながら2人で勉強した。元々施設である程度の教育は受けていたので、まずは基礎を固めてそこから応用を。後は難しめの文字とか。ペンについてはちゃんと持てるよ。
『じゃあここは…こう？』
Em「そうそうそんな感じです。飲み込みが早くて助かります。それに…文字もお綺麗で。」
『そうですか？』
Em「えぇ。読み書きは習ってきたんですか？」
『一応…どこへ行っても許されるように。』
Em「…そうですか。では今日はこの辺りで終わりにしましょう。あ、宜しければ本を読んでいっても構いませんよ。」
テキストを閉じ、エーミールさんに本棚を指し示されて、私は言われた通り本を何冊か出して読んでみる。しばらくして私は気になった言葉があったのでエーミールさんに聞きに行った。
『エーミールさん。』
Em「ん？」
『恋って…なんですか？』
Em「えっ」
この小説では男女がペアでよく出てくる物語だった。その中で恋とか、愛とか、好きとか、たくさんでてきた。
『好き。愛。大好き。愛してる。…みんな私は知らない言葉です。これが感情を意味するのなら、どういうものなんですか？』
Em「…それはね、Aさん。」
エーミールさんは吹き出しそうになった紅茶を飲み込み、ゆっくりと紅茶のカップをテーブルに置くと、ほほ笑みかける。
Em「いつか、知る時が来ますよ。少なくとも、私が語るべきものではありませんから。」
『そう、ですか？』
Em「そう。あなたも心を持っているのなら、絶対に知る時は来る。」
…恋。小説を見る限り私にはまだ感じたことの無いもの…でもとても素敵なものだと言うのは分かったので、私はゆっくり知ることにした。
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すみれいん(プロフ) - きゅるきゅる、ウルル…ここめちゃくちゃ好きです。 (2020年12月8日 23時) (
レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
×(プロフ) - こんなに面白い作品が読めてうれしいです！応援してますヽ(^o^)丿 (2020年11月29日 12時) (レス) id: 2c8e323fdc (このIDを非表示/違反報告)
(´ー｀*)ｳﾝｳﾝ - 好きです。(唐突)頑張ってください。 (2020年11月25日 14時) (レス) id: 79aefbbb5a (このIDを非表示/違反報告)
ラリー - 面白いんじゃあ...続きが気になって死んでまう...(訳:この作品とても好みで面白いです!更新頑張って下さい!) (2020年11月24日 22時) (レス) id: 4e3832928c (このIDを非表示/違反報告)
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