結晶が七十三つ ページ26
ゾムさんは言う。私が戦う必要はないと。だから、私はそのサポートを出来るように結晶を操る練習を、あの結晶について話した後日も重ねていた。そして今は、ひとらんさんお手製の花壇で、花を見ながら細かく細工する練習をしていた。
『んむ…』
結晶の塊を、今近くにあるバラの形へと変形させる。パキ、パキン、と音を立てて形は変わり、あっという間に水色と金色が程よく混じった美しいバラの彫刻が出来上がった。
『ふぅ…前より綺麗にできた』
きらきらと光にあたって煌めく結晶のバラは、今までにない自信作となった。私がこうやって彫刻の練習をするのも、ちゃんと訳あってのことだ。前にひとらんさんが言っていた、あのおふたりへのプレゼントに、いつか自分の結晶を使って贈り物が出来るといいなと思っていた。
『でも今回のこのバラ…どうしようかな…普通に自分の部屋に飾ってもいいかな…うん、そうしよう』
そう決めて、私は早々と部屋に戻ると、ふらふらと廊下を少し羽を伸ばして浮きながら彷徨う。今日は何もないからなぁ…何かお手伝いできればなぁ…そんなふうに思っていると、奥の方から鉄のぶつかる音が聞こえた。
『…？』
一体何があったのかと、そのまま進んでみれば、向こうから誰かが全速力で走ってきた。
Ut「あ！Aちゃん！ちょうど良かった！」
『あの、一体この音は…』
Ut「とんちとグルちゃんがなんか口論の末にガチ真剣でやり合っとるんよぉ〜！他の奴らは出かけてて俺とAちゃんしかいないみたいやし、Aちゃんがなんとか止めたってやぁ！」
『あら…』
ただの木刀などの打ち合いならまだしも、真剣となれば普通に深い怪我は避けられない。ましてやトントンさんとグルッペンさんでは体格差があることを、私は知っている。
『分かりました。行きましょう』
止める人がいないのなら、私が止めよう。しかもこのタイミング…ちょうどいいかもしれない。私の練習の成果を見てみるのに。鬱さんに連れられて言ってみれば、言っていた通りそこでは剣の打ち合う音が響き渡る。
Gr「だからぁ！あそこで突っ込んだ方が敵を蹴散らせて快感だろうが！しかも大多数を減らせるから時間短縮に繋がる！」
Tn「いーやあそこはもっと慎重に詰め寄って被害最小限に敵を制圧するところやろ！あとに響くやろそんなことはぁ！」
『うわぁ…』
一体何が引き金になったのやら、確かに口論をしながら剣を振るう2人がそこに居た。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 290人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Minto - 完結おめでとうです！とっても夢主(？)の子の発言の一言一言が可愛かったです！ (2021年4月5日 8時) (
レス) id: 018cf43ff1 (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - ありがとうございます！楽しんでもらえたようでなによりです!!!!!! (2021年4月5日 7時) (レス) id: c0349a147b (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - レイラさん» ありがとうございます！大好きになると言っていただけて光栄です！ (2021年4月5日 7時) (レス) id: c0349a147b (このIDを非表示/違反報告)
わらび餅ｨ(プロフ) - 完結おめでとうございますぅぅぅぅぅ！！！連載当初から大好きでした！うぅぅぅ………………………尊い……… (2021年4月5日 7時) (レス) id: 5a1e05369f (このIDを非表示/違反報告)
レイラ(プロフ) - 完結おめでとうございまぁぁぁぁぁぁぁす！！！ノアさんの作品めっちゃ好きでした…これからは大好きになります！ (2021年4月4日 23時) (レス) id: 02c3934955 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
