LUCIFER(短編集) (ページ8)

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縛 / ルシファー ※ ページ8

ルシファー妹天使ヒロイン×ルシファー
(*ルシファー歪んでます注意 *近親 *兄上呼び)
(全世界のピーター様ごめんなさい)

太陽が周りの雲をオレンジに染め上げながら
地平線からゆっくりと空へ昇っていく。

秋口の朝はよく冷える。
が、肺に冷たく流れ込む空気の感覚が
ルシファーをベランダに留まらせていた。

たまには夜明けを眺めるのも悪くないな、
とローブのまま黄昏れていると、

「兄上！」

背後から聞こえた愛してやまない者の声。

残念ながら
いつものような柔らかい声ではなく
何かに憤りを感じている鋭い声色。

これから何かについて糾弾されることは
火を見るより明らかだが、
妹の愛おしさには何事も勝らない。

にんまりと口角が上がるのを感じながら
振り向いて大きく腕を広げてみせた。

「ああ、起きたかい？僕の太陽。
そろそろかなと思って美味しい朝食を
用意したよ」

さきほどまで綺麗だと思っていた夜明けには
もう何の興味も未練もない。

室内へと足を進め、
すれ違い際にAの長い髪を一束取り
軽くキスをし軽い足取りで
部屋の奥へと向かった。

カウンターの上に置いてあった
朝食プレートを机の上に置き、
奥から湯気の上るマグカップを持って
プレートの横に置いてソファーに腰掛ける。
　
「おいで、紅茶も淹れたてだ」

ぽんぽんとソファーを叩き、
まだベランダ近くの窓の側にいるAに
自分の隣へ座るように促す。

だが肝心のAは
窓の側に張り付いたままだ。
険しい顔をして兄を睨み、
先程と同じ鋭い声色で質問を投げかける。

「兄上、ピーターという人を知っていますね」

ああ、そんなことか。
とルシファーは瞬時に思った。
心当たりはもちろんある。
だがそんなことよりも、
最愛の妹の口から違う男の名前が
出てきたことが既に気に食わない。

「そんな安っぽい男娼みたいな名前を
口にするんじゃない、お前が穢れてしまう」

兄の眉間に皺が寄るのが見えたが
Aは追及を続ける。

「知っていますね」

語尾を強め、答えを求めた。

「だったら？」

彼は嘘をつかない。
だが簡単に全てを話してくれるわけでもない

Aはどうやったらこの兄と
対等に対峙できるか考える。