これが恋だなんて信じないⅡ (ページ10)

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不思議な感じページ10

「………」

「おはよ～」

「うわあ?!……あ、宏規くんか…」

待つこと数分。思ったよりも早く宏規くんは来た。ぼーっと突っ立っていて無防備な状態だった私は思わず驚いて変な声を出してしまった。

「えっ、どーしたん。ってか待った？」

私の驚き方が受けたのか、笑いながらそう聞く宏規くんに「待ってないよ。10分ぐらい」と答えた。

「えっ、集合時間の20分も前から待っとったん?!」

「ええ…まあ…」

「はやいなぁ。まあ俺も早めに来とるんやけど」

今日の宏規くんは大きめのメガネをしていた。小顔にその大きさでは可愛さしか生まれないと思う。

「じゃあ行こっか」

「うん、今日はよろしくお願いします！」

宏規くんの合図のもと、どちらからともなく歩き出した。

「そういえば勝手に宏規くんは時間ちょうどに来ると思ってた」

「ええ、なんでや。まあいつもはそうなんやけどね」

いつもは、ということは今日はたまたま早かったんだな。
時計は集合時刻の10分を指している。早く会えたのは嬉しいような心の準備の時間が整っていなくて辛いような…いや、あと1時間あっても心の準備などできないだろう。

「ね、一個つっこんでもいい？それ俺やん」

宏規くんが私の手元を覗き込んだ。それというのは……私の携帯のロック画面だ。先程時間を確認した時見えたのだろう。今は宏規くんの写真になっている。

「これには相応の理由があってですね…」

「いや、別にええんよ？いいんやけどさ、なんか俺が携帯のロック画面におるのって新鮮やなって……」

「あははっ、検索かけたら出てくる人が何言ってんの」

「そうやん、俺検索したら出てくるわ。でも、なんで俺なんかに設定してんの」

「え、それ聞くの。…いや、勝手に人にロック画面に設定されてるんだから説明した方がいいな」

一人で納得した私は包み隠さず理由を話すことにした。もちろんファンだからですなんて一言で終わる理由ではない。

「めっちゃ単純よ？うーんと、私朝弱いから、起きて最初に見る顔が宏規くんなら一日頑張ろうと思えるかなーって」

実際のところ、それでも頑張りたくないときもあるが、これのおかげで大抵の日は「今日も一日頑張らなきゃな」と思える。宏規くん効果すごい。

「…いやそれめっちゃ可愛い理由やん」

「えぇ、そうかぁ？」

話していて気付いたが、歩くペースが同じだ。多分、合わせてくれている。女の子扱いされているみたいで不思議な感じがした。