これが恋だなんて信じないⅡ (ページ32)

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初めてのお部屋ページ32

「お、お、じゃましまぁー………す…」

「ようこそっ。……いや何でそんな挙動不審なん？」

「緊張しているだけだからお気になさらず…」

時も過ぎ12月某日。私は生きてきて初めて男の子の家に入りました。しかも宏規くんの。なんだこれ拷問か。

宏規くんの家は思いのほか近く、まあ、歩いていけないほどの距離でもなくて、前に歩いて帰る〜って言ってた意味もうなずけた。

「あ、ど、どうぞ。つまらないものですが…」

自分でも今？って思ったけどお菓子を渡した。乱舞祭お疲れ様、という意味と人の家に行く時の礼儀として。体型とか気にしてたらあれだからカロリー少なめの身体に良いやつ。確か毎日食べて健康になることをコンセプトにしたサプリメント代わりになるようなチョコの12個セットだ。ダイエット中の方からも大人気らしい。普通のデパ地下のお菓子屋さんなら色々知ってるけど、こういう特殊なのはさっぱりなので調べた。

そんなタイミングがどちゃくそ悪くも渡したお菓子を「ええっ、ありがと〜」と受け取り、「あ、これあそこよね、健康にいいチョコのとこやつ」と曖昧ながらも当ててみせるので、なんで知っとんねんや…と思いながらも同意しといた。

ってか部屋普通に綺麗、広い。まあ私とは稼いでる量が違うし、()多分実家の経済力も違うからな、すごいな全く。まあ、でも若い子が一人で住むなら快適に住めるくらいのいい部屋だ。

「そんなにおもてなしはできんけど、ゆっくりしてって」

「ありがとう。……広いね」

「そお？普通やない？」

君、私の家見たでしょ、この部屋よりも狭いよ。そう思ったけどやめておいた。この子坊っちゃんだった。

コートを脱いで適当なところに座らせてもらうと、「荷物そこらへんにぎゅって集めといてくれればええよ」と言われ、その通りにした。そういえば、と思い乱舞祭の感想を書いた手紙を「私が帰ってからお読みください…」と渡した。「えっ、あ〜ありがと〜。大切に読むわ」とかニヤっとして言うから「絶対にいるうちに読まないでよ！」と釘を刺す。

鞄からレミゼの映画のDVDを取りだし、宏規くんに渡して、機器に入れてもらう。その間も、私は宏規くんにはバレない程度に眼をキョロキョロさせて部屋を見ていた。やはり、ここで長い間宏規くんが生活していると思うと､色々気になるものだ。おまけに男の子の家入るの初めてだし。

そんな中、目の前にあるテレビでは、フランスのある壮大な物語が、始まろうとしていた