これが恋だなんて信じないⅡ (ページ30)

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「え〜…………でも、めっちゃいいこと書いてくれてるやん」

あぁ……読まれた……

「読まないでって言ったでしょ…え、電話今すぐ切るよ？」

「そしたら多分掛け直すけど」

「………」

言うことを聞かない子だな…でも読まれたものはしょうがない。もういいのだ、いつかは読まれてしまうようなものだし。

でも、宏規くんってちゃんと手紙読むんだ……と新たな発見ができた。やっぱり、読まないよりは読んでくれる方が嬉しい。

電話越しで手紙を読んでいるのか、謎に無言の時間が流れる。でも、それを居心地悪くは感じなかった。

「……ありがとね」

手紙を読み終わったのか、しばらく経ったあとに不意にぽつりと呟かれたその言葉は、すぐそばで言われたように耳にスっと入ってきて、私もすぐそばにいるように「うん」とだけ頷いた。

「そういえば、レミゼさ、乱舞祭終わってすぐなら観れるんやけど……どこで観る予定やった？」と思い出したように付け加える宏規くん。お誘いすることに必死でそれ以外なんにも考えてなかった……

「えっ…全然考えてなかった…うち来る？ご足労いただくことになるけど」

「男が女の子の家に上がるのって多分ダメやない？…うち来てもええよ？」

「前気付いたらいたじゃん！しかも、それも色々と問題では……」

「いやあれはぁ、しょうがなかったんよ。別に家上がるのくらい気にせんけどね？」

話し合った結果、宏規くんに押し切られる形で私が宏規くんの家に遊びに行くことになった。男の子の家行ったことないのに！最初が宏規くんって色々とやばいよ、私の初めてはおかしすぎる。

「じゃあ、またね。」

「うん、おやすみ。あ、残りの乱舞祭と紅白、がんばってね！」

咄嗟に思い出してしっかりそう付け加えると、「俺さ、Aちゃんのそういうとこ好き」と言われ、「ええ？」と困惑してるうちに、「じゃっ、おやすみ！」と電話を切られた。"プーップーッ"と無機質な音が流れる。

なにが好きなんだよ……

「好き」という言葉は、無駄に期待をさせる。嫌な言葉だ。