これが恋だなんて信じないⅡ (ページ28)

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真剣乱舞祭後ページ28

「あーーー………あーやーーせええぇぇぇぇぇぇぇ」

「はいはい……マジで付き合ってんのかあんたらって思ったよ」

「え、何言ってんの？え？？」

「でもあんた満更でもなさそうじゃん」

乱舞祭が終わって家に帰ってからも、私はなんだか夢見心地というか、ぼーっとしていた。兄者の一件のせいで。なんかもうほんと、なんなのあの子。2ヶ月弱前に遊びに行って、DVDを観る約束までしてしまった相手とは思えなかった。会ったのが結構前だったのも会って、ライブだから当たり前だけど、一目でも見れたのが嬉しすぎたし、あの特に客に媚びない兄者が、いや知り合いだからだし、個人的すぎて周りの目は気になったけど、私にファンサをしてくれたことに言いようのない感動と高揚感を抱いていた。

「あぁ～………ほんとなんなの……」

「お、照れてる照れてる」

そして恥ずかしいことに、むずがゆい嬉しさも。
だって、あの時合った瞳が忘れられない。

「だってさぁーもう～……はぁ……」

本当に、心臓に悪かった。

でもやっぱり、嬉しいと思ってしまう自分もいる。
だって、あの何千人と入るドームの中で、ただ一人の人間を見つけるって相当難しいから。奇跡としか言いようがない。

因みに今日は、ライブの興奮が冷めやらないまま、互いに語りたいのもあって、うちに綾瀬を泊めることとなった。前に私が泊まったから、とんとんということで。

「あ～もう早くお風呂入ってこい！」

「は～い♪」

もう夜も遅く、日付けが変わる時間に近い。綾瀬を風呂に送り出してから携帯を見ると、Twitterの通知が来てる。宏規くんだった(まあ兄者の格好してるけど)。今日の乱舞祭の他のキャストと撮った写真をあげている。

可愛いなあ！もう！

可愛さと「いや違うだろ」という心の声の狭間で頭を抱えつつ、携帯を机の上に置いた。今宏規くんを見続けるのはしんどい。

そうしてソファに寝そべると、すぐに携帯の着信音が響いた。いや誰やねんこんな時間に。

色々な意味で疲れた重い体をのっそりと起き上がらせ、携帯に手を伸ばして誰からかを見ると、そこには今一番対応に困る人の名前が表示されていた。思わずカッ！！と開眼する。

いやいやどうした、本当にどうした。今日のことかな？もう掘り返さないでくれ…

深呼吸をしながら逸る気持ちを抑えて、私は緑の着信ボタンをとんっと押した。