これが恋だなんて信じないⅡ (ページ20)

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ごめんねページ20

こんな風に女と二人で映画行ったりしてる時点で彼女いないんだろうなと思ってるし、どちらかというといない方がいいなって思ってる。

でももし、いるって言われたら。好きな人はいるよなんて言われたら、私は聞いたことを後悔する。きっと辛くて耐えられない。

昔は、もし彼女が宏規くんにいたとして、カノバレしたりしなければ、宏規くんの選んだ人だし幸せになってくれればいいって思ってた。良いファンでいられるはずだった。

でも今は、実際に出会ってしまって、舞台を観て感想を伝えられるような距離で、なぜかご飯食べに行ったり、体調崩して看病してもらったり、ひょんなことから遊びに行ったり……そんなことしてるうちに私は欲張りになってしまったみたいだ。気持ちを止められるわけないって知ってたのにね、馬鹿だなあ。

今日だって何度も感じた。このまま認めないで自分を騙していることはできるのかって。でも、それも苦しいよ。

芝居や歌に対する想いや、自信家だけどちゃんと努力して、夢を掴んでるところ、幼く見えるのに、実はしっかりしてて優しいところとか、ひねくれてても自分には正直で素直で、可愛いところも、笑い方も私の名前を呼んでくれるその声も、全部含めて君が好きなんだって、一緒にいればいるほど感じる。

「～が可愛い」とか「～なところかっこいい」とか、色々分けていたけど、それを集約したら全部好きで収まる。認めてしまえばシンプルなものだ。

同じ歩調で隣を歩きながら、「そういえばいくみんが～」と話し始める宏規くんの横顔を見て思う。

やっぱり、宏規くんのこと、好きみたい。

好きになって、ごめんね。