これが恋だなんて信じないⅡ (ページ11)

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たまにはダサくてもページ11

今日の適当なプランは昼ご飯食べて、映画観て、それからはブラブラするというようなものだった。

そして私は今、宏規くんが選んでくれた雰囲気のいいイタリアンのお店でパスタを食べている。

「めっちゃおいしい…！」

「よかったよかった」

「さすが東京…こんなおいしいパスタ食べるの久しぶりかもしれない…ありがとう宏規くん」

「そんなに喜んでくれるとは思わんかったわ」

宏規くんの語尾に「、笑」が見える。よくTwitterで使ってるよね。
宏規くんはしゃいでる私が面白いのかすごいニコニコしてる……だってほんとにおいしいし。

「私そんなに料理好きってわけでも得意なわけでもないんだよねー。料理が好きな宏規くんが羨ましい」

「へ～意外」

「そう？私普通に適当オブ適当だよ」

宏規くんがふんふんと話を聞いて笑ったり驚いたり反応してくれて、沈黙とかになったらどうしようかと思ったけど、持ち前のコミュ力と宏規くんのおかげで今のところ乗り切ることが出来ている。むしろ、この時間が楽しい。

「そういえば、映画観てからどこ行く？」

「宏規くんの希望はないの？」

「俺特にないから、Aちゃんに合わせるわ」

「えー…待って、考える」

考えて1つ思い浮かんだのはずっと行こう行こうと思っていながら行っていないパンケーキ屋だった。幸い、映画館からも近い。

「映画館から近いパンケーキ屋さんあるじゃん？あそこ行きたい！あとは…ちょっとデパ地下コスメ見てもいい？」

言い終わってから場所が場所だなと気付き、「どっちも女子女子した場所だけど……ごめん」と少しの申し訳ない気持ちで呟いた。

そんな私とは対照的に、宏規くんは「ははっ」と軽く笑ってから「全然大丈夫やから。気にせんといて」と言ってくれた。

「あ、もうそろそろ映画館行った方がいいね」携帯を見て私がそう言うと、宏規くんは「せやな。じゃあお会計しよか」と言って財布を取りだした。その手を思わず片手で静止する。私には、宏規くんに看病してもらったという借りがある。

「私が奢るから」

「え、なんで」

「この間看病してもらったもん。そのお礼というかそんな感じ」

「いや、でも女の子に奢られる男ってめっちゃダサいと思うんよ」

「………」

私は少し考えてから、「いつもそれなりにかっこいいんだからたまにはダサくてもいいじゃん」と呟いて「ダサくてもいいの！」と押し切った。

その呟きが聞こえたのか否か、私にはわからない。