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「はぁ〜なるほどねぇー。いいじゃん楽しんでこれば」
「うん……いや実感がなくて……」
全てを話し終えた私は息をついた。誰かに言いたかったけど言わなかったことを全部吐き出せたので、すっきりしたし、すごく落ち着いた。
「でも、ありがとう。話聞いてくれて。あ、口外禁止だからね」
「わかってるって」
「………ねえねえ綾瀬」
「ん、なあに?」
「………お腹すいた」
私は夜ご飯を食べていないことに話し終わってから気づいた。急に言い知れない空腹感が私を襲う。
綾瀬は「ん〜そんなこと言われても〜」と言いながらも、「お茶漬けしかできんよー?」と1杯のお茶漬けを出してくれた。なんだこれ文ストの最初のシーンみたい。
「いただきます……」
「はい、どーぞ」
「綾瀬の優しさが染みるわ……」
「ってかあんたもう泊まっていったら?もう11時だし」
「えっ、いいの?!」
「ん、いいよ全然。明日、日曜だし。Aは明日休み?」
頷きながら思った。綾瀬優しすぎる………好きだ……
確かにもう時計は11時を指している。そんなに話してたんだ……私よくそんなに話し続けられたな。
「シャワーも使ってええよ」
「神じゃん………どうしたの綾瀬」
「いつも神だわ」そう言って笑う綾瀬は初めて出会った4年前と変わらない。こんな友達に出会えてよかったな。
「ありがとうございます!じゃあお茶漬け食べたらシャワー浴びてくる」
「はいはい」
まもなく私は綾瀬の用意してくれたお茶漬けを食べて、もう一度綾瀬にお礼を言ってからシャワー室に向かった。
取っ手を捻ってシャワーを浴びる。マチソワ─昼公演がマチネ、夜公演がソワレを略してマチソワと言ったりもする─で疲れた身体には綾瀬の家の少し熱めのシャワーがとても染みた。
ふと、思う。なぜ、宏規くんは私を映画に誘ってくれたんだろう。私が映画について話したからか?いや、そうだろうけど、一人で行こうとばかり考えていた私は本当にびっくりしたし、もし話をされてもそれなりに仲がよかったり、自分が誘いたいと思わないと映画に、しかも2人っきりなのに自分から誘おうだなんて思わない。
じゃあ私は?いや、宏規くんのことはそりゃあ好きだし、恐れ多いからあれだけどあわよくば仲良くなりたいなとは思ってる。映画とか観るんだ、って思ったし。
じゃあ宏規くんは、私のことをどう思ってるんだろう。
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ひよこまめ(プロフ) - 晴菜さん» ありがとうございます!長らく更新せずにすみませんでした……溜めていたのでバンバン更新(多分)します! (2019年10月25日 22時) (レス) id: dfe9b86821 (このIDを非表示/違反報告)
晴菜 - 続き楽しみにしています!無理せず頑張って下さい! (2019年10月21日 0時) (レス) id: 3c5af7941e (このIDを非表示/違反報告)
ひよこまめ(プロフ) - 木綿さん» コメントありがとうございます!最近暇なので……(本当は試験が迫っている)きまぐれ更新ですが、付き合っていただけてありがたいです (2019年10月13日 5時) (レス) id: dfe9b86821 (このIDを非表示/違反報告)
木綿 - たくさん更新嬉しいです!!続きドキドキです〜〜 (2019年10月13日 1時) (レス) id: a9775c7f67 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこまめ(プロフ) - ゆさん» コメントありがとうございます!最近更新が滞っているのでどんな文句が…とビクビクしてコメント見ました笑とても暖かいお言葉、ありがとうございます。 (2019年10月6日 0時) (レス) id: dfe9b86821 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひよこまめ x他1人 | 作成日時:2019年8月27日 4時