雨の中の誘い ページ34
「でも、Aちゃんは結構大人っぽいと思う。最初同い年に見えんかった」
「…よく言われる。老けてんのかなぁー。辛い」
そう言いながら信号待ちになってやっとまともに宏規くんの顔を見た。こんな夜の雨の中でも、東京の中心部には人がまだ沢山集まっている。ちゃんと前を見て歩かないと危ない。
「あ、いや顔とかじゃなくてな、雰囲気。落ち着いてる感じするし、話すのとかも上手だし……あれ、俺らめっちゃ反対じゃない？」
宏規くんがこっちを向いたことで、大きな瞳とバッチリと目が合う。でも、不思議と前みたいに逸らそうとは思わなかった。
「そうかも。でも、話すの別に上手じゃないよ？そう言ってもらえるのは素直に嬉しいんだけど」
その後、「ありがとう」とお礼を言うと、宏規くんは満足そうに微笑んだ。
すごく優しい笑みだった。
宏規くん、こんな顔できたんだな。
ふと、視線を外して周りの高い建物たちを見回した。そこに映っている画面に、ニュースやら、宣伝やらが流れていて、一つ一つが街全体を明るくしている。その画面の1つに、今月から始まったある映画のCMが流れているものがあった。
世界一大きなテーマパークの製作している映画で、私が幼稚園の頃から好きなキャラクターたちの未来を描いたものだ。実写版で映画が出るのは多分初めてで、絶対に見に行きたいと思っていた。
思わずそれに見入っていると、宏規くんは私の視線の先を追ったのか、「あぁ、あれ好きなん？」と聞いてきた。
「うん！多分幼稚園の頃くらいから」
「うわそんなに？すごっ」
俺も結構気になっとった、と宏規くんが言った後も、2人でそのCMの続きを見た。
見終わってから、「あれ、絶対観に行きたいんだけど、一人で行くのも少し寂しいし、でも同じ趣味の友達もいないから、付き合わせるのもなって思って結局行けてないんだよね…」と、私は言った。我ながら、憂いの混じった声を出してしまったと後悔する。
「まあしょうがないから一人でも見に行くけどね！」と言おうと思って開いた口は、皆を言う前に宏規くんが何かを言いかけたことで閉じられた。
「…じゃあさ、俺と……観に行かへん？」
その宏規くんの声はなぜだかよく耳に響いて、雨がその瞬間だけ弱まったんじゃないかと錯覚してしまった。
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ひよこまめ(プロフ) - 晴菜さん» ありがとうございます！長らく更新せずにすみませんでした……溜めていたのでバンバン更新(多分)します！ (2019年10月25日 22時) (
レス) id: dfe9b86821 (このIDを非表示/違反報告)
晴菜 - 続き楽しみにしています！無理せず頑張って下さい！ (2019年10月21日 0時) (レス) id: 3c5af7941e (このIDを非表示/違反報告)
ひよこまめ(プロフ) - 木綿さん» コメントありがとうございます！最近暇なので……(本当は試験が迫っている)きまぐれ更新ですが、付き合っていただけてありがたいです (2019年10月13日 5時) (レス) id: dfe9b86821 (このIDを非表示/違反報告)
木綿 - たくさん更新嬉しいです！！続きドキドキです〜〜 (2019年10月13日 1時) (レス) id: a9775c7f67 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこまめ(プロフ) - ゆさん» コメントありがとうございます！最近更新が滞っているのでどんな文句が…とビクビクしてコメント見ました笑とても暖かいお言葉、ありがとうございます。 (2019年10月6日 0時) (レス) id: dfe9b86821 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひよこまめ x他1人 | 作成日時：2019年8月27日 4時
