コンビニ ページ21
◯
入学式の数日後、お父さんは急にご飯を作ってくれなくなった。
ある日、いつも通り家に帰ると、ダイニングには何も置かれていなかった。
いつもはラップで包んだご飯とおかずが置かれていたのに、なぜか無かった。
その日、お父さんはいつもより遅く帰って来た。
見るからに機嫌が悪かった。
私はお腹が空いた、ご飯を作って欲しいと控えめに頼んだ。
でもお父さんは私の言葉に何も言わなかった。
その代わりに私にお札を数枚渡して来た。
小学生1年生にしては大金だった。
私はどういう意味か分からなかった。
お金を受け取って立ち尽くしていると、お父さんは言った。
これからは俺はご飯を作らないからそこら辺で買って来い、小学生になったんだから自分の事は自分でしろと。
なんで、どうして？ と聞くとすごく怒鳴られた。
こんなお父さんは見た事が無かった。
ひとしきり怒鳴った後、お父さんはすぐに寝た。
私は突然の事でよく分からなかった。
明日になったらいつも通りのお父さんに戻って、ご飯を作ってくれる、そう信じてその日は寝た。
次の日。
私の朝食は用意されていなかった。
いつもは朝起きるとお父さんがすでに起きていて、朝食を作ってくれていた。
でも、今日はもう家を出た様子だった。
私は仕方なく冷凍してあった白ご飯を食べた。
身支度を終え、靴を履き、ランドセルを背負った。
言ってきます。
私は1人でそう呟き、学校に向かった。
学校を終え、家に帰ると案の定、ご飯は用意されていなかった。
私は仕方なく昨日もらったお札を1枚握って、コンビニに行った。
おにぎりを一つ手に取り、レジに向かった。
レジのおばちゃんに一人で買い物出来て偉いねと褒められた。
でも全然嬉しくなかった。
小さなレジ袋を腕にかけてトボトボと家に帰った。
4人用のダイニングテーブルに、一人寂しく食べるおにぎりは冷たかった。
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ゆのん(プロフ) - 感動しました。私自身、前の父親にそれに近い事をされていたので、自分の話のように感情輸入出来ました。 (3月13日 17時) (
レス) @page45 id: 9b31ba286d (このIDを非表示/違反報告)
脅威のセラフ - とても素敵な作品をありがとうございました。私は病気を患っているので勇気が出ました！ (2020年7月12日 19時) (レス) id: 285d3eca52 (このIDを非表示/違反報告)
美琴(プロフ) - お話がとても深くて素晴らしかったです！ (2020年5月10日 16時) (レス) id: 8087b8e5a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はるちこ | 作成日時：2019年9月23日 0時
