命の危機 ページ13
◯
私はデクくんに痣を見られた事に動揺していた。
デクくんなら、人に言いふらす事なんてしないだろうけど、きっと明日もこの傷の事を聞いてくる。
明日は上手に嘘をつかないといけない。
どうしようかと自分の部屋で悩んでいると、父親が帰って来た。
今日もいつもより酔っぱらっており、ドアを開けた時点で怒鳴り声を上げていた。
「おい、A！ さっさと部屋から出ろ‼」
以前部屋から出なかった時、扉を壊して私の部屋に入って来た事があった。
その時は自分のお金で業者を呼んで、直してもらった。
だから、いつも私は大人しく部屋から出る。
私は父親が手に持っていたものを見て流石に震えた。
片手にはどこで拾って来たのか分からない、金属バットを握っていた。
それを見て動けなくなった。
私が立ち尽くしていると、容赦なくその金属バットで私の腕を殴って来た。
『いっ！』
流石に声が出てしまった。
ここまでの痛みは感じた事がなかった。
父親は何度も何度もそのバットを振り下ろした。
足も腕もお腹も背中も、あらゆる所を殴って来た。
少しの間は大人しく我慢していた。
数分後、私は殺されるかもしれないと流石に命の危機を感じた。
今まで命の危機を感じるほど殴られた事は無かった。
この家から抜け出さないと。
そう本能で感じた。
けれど、ブルブル震えた足は思うように動いてくれなかった。
千鳥足になりながら玄関に向かった。
それでも父親は私の後を追って来た。
父親は後ろからバットを振り上げた。
玄関を飛び出す前に父親に追いつかれてしまう、そう思って私は急いで振り返った。
バットを取り返そうかと思った。
そんなドラマみたいに形勢は逆転するわけは無かった。
殺意でもあるかのように、父親はそれを思いっ切り振り下げた。
今まで感じたことのない衝撃を感じて、私はその場に倒れこんだ。
身体が動かなくなった。
私は気を失っていた。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 185人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆのん(プロフ) - 感動しました。私自身、前の父親にそれに近い事をされていたので、自分の話のように感情輸入出来ました。 (3月13日 17時) (
レス) @page45 id: 9b31ba286d (このIDを非表示/違反報告)
脅威のセラフ - とても素敵な作品をありがとうございました。私は病気を患っているので勇気が出ました！ (2020年7月12日 19時) (レス) id: 285d3eca52 (このIDを非表示/違反報告)
美琴(プロフ) - お話がとても深くて素晴らしかったです！ (2020年5月10日 16時) (レス) id: 8087b8e5a0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：はるちこ | 作成日時：2019年9月23日 0時
