94話 見透かされた心 ページ19
「ごちそうさまでした.....轟さんありがとう.....」
轟さんのおかげでなんとか完食することができた
周りの目は気になったが.....
「お前を助けられるなら、それで良い」
「な、な、何言ってるんですか.....！」
轟さんがあまりにも優しく言うものだから私は動揺してしまった
「それより鎧塚.....相澤先生と何かあったか？戻ってきた時、泣きそうな顔してた」
何で貴方はいつも私の事を分かっているの.....
何で私にそこまでしてくれるの.....
何で.....何で.....
でもこれは自分で解決すべき事
だから.....
「何でもないんです、全然.....大した事じゃ.....」
「その腕のことと、関係あるのか？」
隠そうと思ったのに.....私は咄嗟に苦し紛れの嘘をついた
「あー.....この腕はちょっと、筋肉痛か何かですかねー！多分動かしてれば治りま.....ちょ.....轟さん.....」
ぶんぶんと動かしていた私の腕は轟さんによって止められて、優しく触られていく
「ちょっと筋肉が硬くなってるか.....？筋も痛めてるし、打撲もしてるかも.....」
轟さんのが、触れたら壊れてしまうもののように私の腕に触れていて、なんだがこそばゆかった
「轟.....さん.....？」
「.....あぁ.....！悪いな.....確かにこの状態だと、無理をすればまずいかもな.....もしかして相澤先生に体育祭出場止められたか？」
悩んでいる事を言い当てられて、私は少し.....視界が潤んだ
「.....なんで、分かっちゃうの.....かな.....隠そうと思ったのに.....轟さんは.....怪我を負った私じゃ、戦えないと思いますか.....」
私の声は震えていた、また同じことを言われるんじゃないかと思ったから.....
「.....いや、そんなことはねぇと思う.....お前は判断力もあって、多少のハンデなんか物ともしない.....そんな奴だと俺は思ってる.....俺は、お前とも戦いたい」
彼は真っ直ぐ前を向いて私に言った
轟さんの言葉は率直に.....嬉しかった
認められている気がした
「.....ありがとう.....」
「.....でもな、あんまり無理をしすぎるな....相澤先生も多分.....心配だからこそ辞退しろって言ったんだと思う」
「それは.....分かっています.....相澤さんは私の事を想ってくれているから.....でも私は.....もう、守られるだけなんて嫌なんです.....大切な人達をこの手で守るために強くなりたい.....」
「あぁ.....そうだな.....」
私の言葉に轟さんは優しく言葉をかけてくれた
それがとても救われた気がした
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作者名：雪乃 Kei | 作成日時：2020年3月8日 15時
