92話 境界 ページ17
相澤さんに八つ当たりをしてしまった後、授業も上の空であっという間に昼食の時間になった
「Aちゃんも.....！頑張ろうね.....！体育祭.....！」
そこには見たこともない、メラメラとしたお茶子さんがいた
「えっと.....お茶子さん.....どうしたんですか？」
「麗日さっきっから様子おかしくってよぉ.....まぁやる気があって漢らしいな！！」
切島さんが豪快に笑いながら私の元に来た
「鎧塚強ぇからな！！でも負けないぜ！！」
なんで.....どうして貴方達はこんなにも眩しいの
切島さんの真っ直ぐさが私にはとても痛かった
「まぁ、強くなるには食べることだよね！腹が減っては戦はできぬ！てことで.....Aちゃん！一緒に食べよー！」
「.....はい！もちろ.....」
「麗日、こいつ借りてくぞ」
「え、轟君.....わ、分かった」
お茶子さんへの返事を言い終わらないうちに轟さんが私の腕を引いていた
お茶子さんの方を見るととても笑顔で手を振られていた
「とっ.....轟さん.....！どうしたんですか？」
「朝言いかけてたこと.....飯食いながらでも良いか？」
「良いですよ、一緒にお蕎麦食べましょう」
そう言うと轟さんは優しい顔で微笑んでいた
「わぁ.....やっぱり混んでますね」
私達がついた時には食堂は長蛇の列だった
「まぁ、くるのが遅かったからな.....悪い」
「待つの嫌いじゃないので大丈夫ですよ、轟さんはやっぱりざる蕎麦ですよね！」
「あぁ、蕎麦はあったかくねぇのに限る」
「私も冷たいお蕎麦大好きです！この食堂のは食べたことないので楽しみですね.....」
「ここの蕎麦うめえぞ」
轟さんとお蕎麦トークに花を咲かせていると、轟さんが急に険しい顔になった
(.....どうしたんだろう、、お茶子さんと飯田さん.....？)
轟さんが見ている方を見ると、いつもいるはずのデクさんがおらず、2人で喋っているのが見えた
「.....なぁ鎧塚、緑谷の個性、どう思う」
少し深刻そうな顔をしながら彼は私に尋ねてきた
「すごくパワー型の個性だとは思いますね.....自分の力を増強しているような.....」
「オールマイトの個性に似てねぇか？」
そう言われて思わずはっとしてしまった
「確かに.....！でもどうしてそんな事を？」
私がそう言うと、「悪い、なんでもねぇ」と彼は言った
きっと、何かあるのだろう.....
でも.....私は踏み込んではいけない、そう思った
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作者名：雪乃 Kei | 作成日時：2020年3月8日 15時
