131話 戻りたい ページ10
私は...また傷付けた...何度も何度も何度も後悔したことをまた...
それだけじゃない、私は...強くなれたと思い込んでいた
いつも...何にも掴めないのに、私のせいで皆不幸になっていくのに
私は、何にも変わっていなかったんだ
相澤さんやA組の皆がくれた物が私から溢れ落ちたんだ
それどころか、私...それを自分から捨ててしまったんだ
「もう何処にも...何にも...出来なくなっちゃった...」
ぬるい風が頬を撫でる
木々が私を拒むようにザワザワと音を立てた
私の事を想っていてくれたのに本当にごめんなさい
大好きでした
私はあの時のように剣を首に突き付ける
もう...戻るつもりはない
「A...ちゃん...？」
やめて...
お茶子さん...そんな優しい顔で私を見ないで...
また暖かい日々に戻れると思ってしまう
意味もなく期待を抱いてしまう
「...来ないで、お茶子さん」
だから、私は貴方を拒絶する
「嫌だ、友達が苦しんでるのに見て見ぬふりなんかしたくない」
「...！やめて！私凄くぐちゃぐちゃなの！醜いの！だから私に近づかない...で...」
気付けば私より小柄で華奢な腕の中に収まっていた
「Aちゃんはいつもカッコ良くて、綺麗で、笑うと凄く可愛くて...私のずっとずっと憧れで...友達」
彼女はポツリポツリと呟く
違うの...私はそんなんじゃない...！A組の皆が眩しかったから自分もそうなりたかった
ヒーローのふりをしていたただの敵だよ
「...離して....離し...て...！「絶対離さないよ、だって離したらAちゃん遠くに行っちゃうでしょ？USJの時みたいに」...良いの！私はそれを望んでる！私は貴方達と道を違える事を望んでる...だから...」
私が拒絶するのとは裏腹に抱きしめる力が強くなっていく
「嘘つきだなぁ、Aちゃん...あの時も今もずっと、怖いんだよね、苦しいんだよね、私はUSJでAちゃんを離しちゃった...それをずっと後悔してた、だからもう、離さないよ」
彼女には全てを見透かされている
本当は嫌だよ...皆と離れることも、ヒーローになれないことも、相澤さんの側に居られないのも...
でも...そんな事を思ったら、また私は誰かを傷付ける
私が陽の光に当たっちゃいけないんだ
「う..ぁ...あぁぁあぁ....！」
涙が止めどなく溢れていく
私はもう、何もかもを捨ててしまったのに、また拾いたいと思ってしまう
彼女は何も言わず、私を抱きしめた
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作者名：雪乃 Kei | 作成日時：2020年4月29日 13時
