129話 支配 ページ8
私の心は重く沈んだまま、何かが私に絡み付いたまま二回戦がやってきた
怖い...怖いよ...
私には何も見えなくなっていた
何も、解っていなかったんだ
「一回戦目は楽々快勝ぅぅぅーーーー！！！常闇ぃぃ！！vs変身がマジカッケェーーーー！！鎧塚ぁ！！第二回戦レディぃぃぃぃぃゴぉぉぉぉぉぉ！！」
空が蒼い
なんの曇りもない清々しい空
「悪いが直ぐに終わらせてもらう...！ダークシャドウ！！！」
私が空虚に空を見つめていたとき
その蒼い空が黒く染め上がった
黒い何かが私に覆いかぶさろうとする
『...A』
嫌...やめろ...
私に触れないで...
触れて良いのは...
触れて...良いのは...？
そんなもの私に存在しない
私の世界はこんなにも薄暗いものなんだから
もう、いいか
私の精神は何かに侵食されてしまった
でも、それさえも受け入れてしまえる程に私の心は空っぽだった
「A！！！！！」
私を呼んだのは、大切な人
愛おしくてたまらない人
その声に引き戻されて私は、大切な仲間であるはずの常闇さんに何百本もの剣を向けていたのに気が付いた
少しでも動けば刺さってしまうくらいに
「...参った...」
「コ、コワイヨ...」
2人の怯えた顔はまるで...まるで...
敵を目の前にした時のようだった
「ぁ...あ...ぁあ...ぁ...ち、違う...の...私...は...」
そんな顔を...させるつもりじゃ...
ただ...守りたかっただけなのに...
『違わない、それが君の本質だよ、抗えないし抗わなくて良いんだ...』
私の中で、誰かが問いかける
違う...！私は守りたかった...誰も死なせたくなかった...生きていて欲しかった...それだけなのに...
その願いはどうして打ち砕かれるのだろう
どうして私は誰も守れないのだろう
その後の事は何も覚えていない
途方もなく彷徨い続ける
もう私はヒーローになる事は...出来ないよ...
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作者名：雪乃 Kei | 作成日時：2020年4月29日 13時
