134話 まだ ページ13
「......そ、そんな...こと...ない...！」
言い返すにも言葉が詰まりそう
息が苦しい
「......1回戦目...手ェ抜いてたのバレバレなんだよ、お友達思いの私やさしーってか？はっ！笑わせんな、反吐が出る」
なに...それ
爆豪さんは何も...何も失った事...ない癖に
「......自分の個性で人が傷ついて、怯えて......ましてやA組の皆に...私は何度も何度も何度も！！！数え切れないくらい間違えてきたんです！私のせいで...死んだんです」
...呆れるくらいにすっと、認めたくなかった言葉を口にした
私の記憶は、すっぽり抜けていて
でも、私のせいで死んだという事実は消えなくて、消せなくて
何も覚えてない私に心底腹が立つ
彼はかかとを鳴らしてため息をつきながら、苛立ちを含んだ声を発した
「......それがてめェのいけ好かねぇとこだ、てめェが幾らてめェを犠牲にしたところで、過去が塗り替えられるわけでも、ましてや死人が帰ってくることもねぇ、それをてめェが一番よく分かってんだろ」
「...っ...」
脚が震える、胸が熱くなる、心が痛くなる
私は...ただ...
「......私の事何にも知らない癖に...！私がどれだけ！！！私の側から命を溢れ落とさせたなんて知らない癖に！！！勝手なことばかり言わないで！！！」
違う、違うの
そんな酷い言葉を言いたいんじゃない
彼は何も...何も知らなくて良いはずなのに
私のことなんて知る必要、ないのに
止めようとしてもどっと黒いものが溢れ出してくる
せき止めようとしても勢いを増して私に覆い被さる
「...ﾊｱ...てめェのことなんざ知らねぇ、文句があんならかかってこい、てめェを完膚なきまでに叩きのめす」
「...っ...なん...で...そんなにも...」
綺麗なの...
彼の瞳は、濁りがなくて、真っ直ぐ私を向いている
他の皆もそう...過ごした時間はとても短かったけれど
とても暖かくて、優しくて、陽だまりにいるようで
縋りたくなってしまった
でもいつその日々が失われてしまうか分からない
USJの時みたいに敵がやってきて皆を傷つけてしまうかもしれない
暗い闇が覆い被さって、皆を引き込んでしまうかもしれない
私が敵になってしまうかもしれない
それでも...
「...私を、受け止めてくれますか」
まだ、ここに居たいよ
続く (更新停止中)
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作者名：雪乃 Kei | 作成日時：2020年4月29日 13時
