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5.難渋少女。 ページ6

「えっとまず……ここ、とか?」

私はブレザーを脱ぐと、埃にまみれながらどうにか出口がないか探すことにした。

跳び箱を重ねて踏み台代わりにすると、上の方や手の届かないところにも出口がないかと探す。

ふと、目があるものを見つけた。

大きな換気扇。
これを外せば外に出られるかもしれない。
少し……いや、かなりの力がいりそうだけど、この換気扇さえ外してしまえば……!
そう思い換気扇に手をかけると、思いのほか簡単に換気扇は取り外せてしまった。


「ごほっ……えっ、まじか」

私は唖然としながらも、手に持った換気扇をしたに放り投げると、ポッカリと空いた穴から体を出そうとした。
が、ある事実に気づいてしまう。


「しまった、ここ二体だ……」

第2体育館。
通称二体。
ここから身を投げ出したら、死……。
ぞくっと鳥肌が立ったところで、私は跳び箱から足を降ろして、今度は下の方を探すことにした。


「……あっ、ヘアピン!」

次に私が考えついたのは、鍵を開けることだ。
バッグの中にあるヘアピンを使って、上手くはめられれば鍵が開くかもしれない。

私は筆箱を取り出すと、床の上に中身を全てぶちまけた。
スマートフォンのライトで床を照らしながら、ヘアピンを探す。

「あ、った……けど、錆びてる……。」

でもまぁ、無いよりはマシだと思い、真っ直ぐに伸ばす。
こんな、錆びたヘアピンで鍵が開くか自信はないが、やるしかないと思い、鍵穴に差し込む。

「っ、こ、こ……?うーん……」

カチャカチャとした音が数分間倉庫の中で響く。
だが、肝心の音は鳴らない。
そう、鍵はいつまで経っても開かない。

「……やっぱり、ダメだ」

諦めて鍵の代わり……ヘアピンを手放す。
他になにか……自力でここを出られないとするなら、ほかの人に助けを求めるべきなのだろうか?

「音で知らせる……あとは、メッセージ……は無理だし……」

はあ、と頭を抱えてよろめくと、ふと足が滑る。


「っ、と……あれ、これ」


そこに落ちていたのは、一枚の紙だった。
『体育館の使用ルールは守りましょう 3-C体育委員』と書かれていて、随分古いものなのか日に焼けて所々黄ばんでいる。くしゃくしゃになってもいる。

でも、私にはその時、一つのアイディアが浮かんだ。
賭け事と似ているし、上手くいく保証なんてひとつもない。
けれど、賭けてみないと始まらない。

私は意を決して、準備を始めた。

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設定タグ:オリジナル , 変身系 , 微恋愛   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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作者名:いろはす | 作成日時:2018年4月28日 15時

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