緑の風を追って (ページ13)

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12話ページ13

ジェハの演奏が聞こえてきた
火鎮の祭りが始まったみたい。

私とヨナは出番に向けて準備を進めていた。

あ～♪あ～♪
喉の調子もバッチリ。これなら大丈夫そう
ヨナも着飾っててすごく、綺麗
「あの、頭が重いわ」
「何言ってるの。踊り子なんだから
派手にしないと」
いや、でも本当に頭の飾り重そうだな。

私は、少し前の事を思い出す。
さっきは恋人や、恋愛関係の話について
盛り上がって大変だった‥‥
ヨナが好きな人のことを聞かれた時
「好きな、人‥いたけど‥
今は‥‥」
表情が陰った事と"今は"の言葉の続きが
気になる。
ヨナの好きだった人は
スウォン‥かな。たぶん。
その人はあの日の事件以外で
何か変わってしまった事でもあるのかな‥?

「シオン。そろそろ出番よ。」
「分かった。」
そう声かけてくれたヨナの手には
扇ではなく剣が握られていた。

ジェハの演奏が終わる。
いよいよ私達の出番‥‥。
すうっ
私は大きく息を吸って村全体に声を響かせる
それに合わせて、ヨナが踊ってくれて
一心同体になった気分

この曲は私が、一番
思い入れのある曲。小さい頃によく歌ってた歌
ヨナも知っていたようで
「知り合いがよく口ずさんでいたわ」
との事。
その時の表情はすごく寂しそうで
これ以上は何も聞けなかった

私の歌ととヨナの舞が終わると
しばらくの間拍手が鳴りやむ事はなかった。

「ジェハ!!」
私はジェハのもとに一目散に向かった。
「シオン。お疲れ様.
シオンが歌ってヨナちゃんが舞うなんて
だいぶ無茶を言ったかと思ってたけど
成功してすごいじゃないか。」
わぁぁ‥‥
ジェハに「すごいね」って言ってもらえたぁ
とっても嬉しい‥‥
「ま、まあね‥
ジェハの演奏もすごい綺麗だったよ!
さすが、ジェハだね!」
私も恥ずかしいけど思った事を伝えた
だって、ジェハの演奏
とってもすてきだったんだもん‥
「シオンの歌の方がずっと綺麗だったよ」
へっ!?
私の歌‥綺麗‥だったよ?‥えっ、えっ
ぷしゅーと沸騰したよう。
うわぁ、ど、どうしよう!?
今日寝れないかも‥嬉しすぎて‥‥
「その表情も見せるのは僕だけにしてね?」
ジェハが何かを呟く
「え?何?」
今のはジェハの声が小さくて聞き取れず
聞き返すと「ん?どうしたの?」と
誤魔化されてしまった。
まぁ、でも
今日の夜は本当に寝れなさそうだ。