笑っちまえ ページ32
A
HRを告げるチャイムがなった瞬間、左隣の席から(ほとんど寝てたけど)7限目まで授業を受けていたとは思えないほど元気な声が聞こえる。
影山「…奥村サン!部活行きましょう!」
A『ぇ?ぁハイ?』
慌てて準備して顔を上げると影山はニカッと歯を見せて不敵に笑い私の手を取る。
影山「ホラ!早く行きますよボケェ。日向に負けますよ?」
いや、私はオレンジ君と勝負とかしてないから巻き込まないでよ…
頭ではそう思ってる割には少し嬉しくて影山と二人、廊下を走ってる自分がいる。
()「Aー!!行ってらっしゃい!!」
A『っ!!行ってきます!!』
ただのなんの変哲のない挨拶が私には帰る場所があるんだと教えてくれる。
私の右手を掴み先を急ぐ影山の左手をギュッと握ると、ギュッと握り返してくれる。
影山「そういうのズルいっス…ボケェ」
真っ赤な顔してる君がこんなにも愛おしいだなんて思えるのが幸せなんだ。
今は。今はただ想ってるだけでいい。
それだけでいい。私のペースでいい。
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「おつかれさまーっ」
田中さんが西谷さんを褒め称えていると嬉しそうに笑う先生がドアから顔を出す。
澤村「集ごー・・・・・・えっ?!」
主将が大きな声で集合をかけるが、普段の主将からは考えられないような少しマヌケな声が零れる。
??
不思議に思ってキャプテンの視線を辿るとその先には見慣れたオールバック金髪と少し悪い目付きのジャージ姿の男性。
A『…ぇ?繋ちゃん…??』
繋心「おぉ。」
武田先生か繋ちゃんについて説明したり、他の先輩や部員が騒ぐも、そんな声は私の耳には全く入ってこなかった。
バレーは思い出のままにしときたい。
俺は誰かを指導できるような奴じゃねぇ。
そうやっていつも哀しそうに笑ってた繋ちゃん。
そっか。
繋ちゃんも進み始めたんだ。
A『繋ちゃん。』
名前を呼べば、あぁ?とダルそうな返事がかえってくる。
少し緊張してるのか表情がカタイ繋ちゃんの前に立ち
思いっきり笑ってみせる。
A『おかえり。繋ちゃん。』
繋心「おぉ。ただいま。」
そんな私を鼻で笑うと、いつもみたくニヤッと笑ってみせた。
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作者名:ツナ缶本仕込み | 作者ホームページ:http://@ya love
作成日時:2021年10月1日 20時