''助けて''っカッコイイ ページ29
A
()「アンタが辞める選択した時だって本当は素直にその選択を応援できなかった。Aが努力してたのを知ってたから。でも、自分の道を選んだなら応援しなきゃいけない。」
ホントは私だって分かってた。
繋ちゃんも()も、及川さんも岩ちゃん先輩も猫又監督だって私のバレーを辞めるという選択を喜んで応援してないのも。
その選択を後悔することなんてないと思ってた。
1人で考えて考えて出した結果がバレーを辞める。
でもそれはただ''楽になりたい''だけだったんだと自分が1番わかってた。
突然始まった居言い合いに体育館にいる人は静かになっていた。
()「ねぇ。A。いいんだよ?''助けて''って言って。
1番勇気がいるのは''助けて''って声に出すことなんだよ。
''助けて''ってカッコイイんだよ?
言ってみなよ。Aはひとりなんかじゃないから。
手を貸してくれる人は絶対居るから。
無条件に差し伸ばされた手を払い除けないで握ってごらん。
冷たくなんかないから。
どんな手もAを想って差し伸ばされた手だから
温かいんだよ。」
ホラ。と目を真っ赤にしながら笑う寧々。
気付かないフリをしていた。
差し伸ばされた手を払い除けて背を向けてきた。
自分にこの温かさは相応しくない。
言い訳や綺麗事ばっか並べて逃げてきた。
でも。
()「おかえり。A。」
A『ただいまっ…』
この温かさは私を想ってくれてる。
待っててくれてたんだ。
A『ごめんっ、ごめんなさいっ…ありがっとう…』
沢山の人が私たちを見てるけど涙は止まることを知らない。
溜めてた想いや感情が溢れて止まらない。
ーーーー
ーー
ー
A『…あり、がと。』
()「…ん。」
本音を言い合って子供みたいに泣きわめいた後は気まずくてよそよそしくなってしまう。
ぶつかり合った分だけ傷付いて、傷付い多分だけ強くなって強くなった分だけ優しくなれる。
ゴツゴツした岩も運搬され侵食され、角同士でぶつかり合って川下に着いた時に初めて丸くなれる。
お互いそっぽ向いて照れてるとキュッと高い音を鳴らしながら見慣れた真っ黒なシューズが視界に移る。
かつて「カッコイイね」と褒めた真っ黒なシューズ。
影山「…奥村サン…?大丈夫ッスか?」
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作者名:ツナ缶本仕込み | 作者ホームページ:http://@ya love
作成日時:2021年10月1日 20時