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▹▸A
"変わらない関係なんてどこにも無い"
木葉さんの不器用な言葉を噛み締めて体育館へと走りだす。
何度も見聞きした活字や芸能人の言葉や歌詞にはピンと来なかったのに。
まだ少しだけ残っている心のモヤモヤを振り払うよう必死に足を前に動かす。
髪が頬にまとわりつく。息が上がる。
部活帰りの人達とたくさんすれ違うけど、足は止まらない。
不格好でもよかった。ただ、早く会いたかった。
走ることも、一生懸命になることも、悩むことも、
疲れることも、難しい本も、全部全部大っ嫌い。
それでもたった1人の幼馴染みの君のためなら。
体育館の入口に立って1回、大きく深呼吸をする。
ホラ。あとは大切な君の名前を呼ぶだけ。
何度も呼んだあなたの名前を。
・・・っ
怖い。
名前を呼ぶだけけなのに。
足が竦んで、声が出ない。
ぎゅっとスカートの裾を握り締めてみても、シワの出来たスカートは私の心みたいにクシャリと不格好で頼りなくて。
なんでよ。なんで動いてくれないの??
頭では分かってるのに身体は言うことを聞いてくれない。
視界がぼやけないように唇を強く結ぶ。
自分の無力さにただ呆れて嗤うことしか無かった。
「・・・A…??」
驚いたように君は目を少し丸くして私を見つめた。
「Aちゃーんっっ!!!」
そんな私たちを他所に高らかに私を抱き上げ二カッと笑う木兎さん。でもその笑顔は直ぐに真剣な顔付きになる。
『…ぁ…えと…木兎、さん…?!』
さっきまで頭がいっぱいいっぱいだった筈なのに。
たった一瞬で私の心を動かす貴方。
「なぁ。なんか哀しいの?苦しいの?よくわかんないけどさ、
泣きたい時は泣けばいいんじゃないの??」
なんで。なんで気づいちゃうの??
やめてよ。
もう泣かないって決めたのに。
"もう泣かない"ってけーちゃんと約束したのに。
私が泣くとけーちゃんは困った顔をしちゃうから。
『…あれ…』
視界がぼやけ始めると後頭部に手を当てられ肩へと誘導される。私よりも大きくて角張った筋肉質な身体。
そうだ…
私は怖かったんだ。
この関係、幼馴染みという関係が崩れるのが怖かったんだ。
また、大切な人を喪うのが怖かったんだ。
ただの。弱虫。
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ろん。(プロフ) - おまんじゅうさん» えぇ?!めちゃくちゃ嬉しいお言葉です…っ😭😭新作は幾つか案が出て居るのでなるべく早く書けるように頑張りますねᕙ( ˙꒳˙ )ᕗありがとうございました💕✨ (2022年4月3日 7時) (レス) id: bd82f03367 (このIDを非表示/違反報告)
おまんじゅう - この夢小説神過ぎて号泣しました!!😭✨これからも占ツクの作品作り頑張って下さい!✌️ (2022年4月3日 1時) (レス) @page50 id: 620ff6aba0 (このIDを非表示/違反報告)
ろん。(プロフ) - 塩入り紅茶さん» こちらこそ数ある夢小説の中でこの作品を見て下さりありがとうございます(*´˘`*)コメントまでして頂いて私はめちゃめちゃ幸せものです。本当にありがとうございます!! (2022年3月28日 22時) (レス) id: bd82f03367 (このIDを非表示/違反報告)
塩入り紅茶 - ろん。さん、こんな素敵な作品を書いていただきありがとうございます!私は木兎さん好きなのでなんだかかわいい姿を見たみたいで面白かったです!ありがとうございました!!!! (2022年3月28日 22時) (レス) @page50 id: 2b0f4e3316 (このIDを非表示/違反報告)
ろん。(プロフ) - 黒瀬将哲さん» 黒瀬将哲さん素敵なコメントありがとうございます( ;꒳; )私はこのコメントに泣きました…バイトの休憩中にこのコメント…っ!!社畜後に暖かいコメント嬉しかったです( *´꒳`* )こちらこそ出会って下さりありがとうございました!! (2022年3月13日 16時) (レス) id: bd82f03367 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ツナ缶本仕込み | 作者ホームページ:http://@ya love
作成日時:2021年11月1日 23時