儚い恋心（２） ページ10
*
「ーーんで、お前がここに来た理由はこれじゃねぇんだろ？」
これと呼ばれた仮の婚姻届に捺印をし、Aに手渡す。
「…銀時には何もかもお見通しね」
「ったりめーだ。何年お前を見てきたと思ってんだコノヤロー」
ーーあれ？なんか口説き文句みたいになってね？
いやいや。別に俺はコイツのこと好きでもなんでもねーから。
確かにコイツに恋心抱いてた時期もあるのは認めるが、そんなヘビーなモンじゃねぇから。
だって乳揉ませろなんて平気で言えるような仲だよ？
乳のくだりなんて俺にとっては挨拶みたいなモンなんだよ。社交辞令みたいなモンなんだよ。
減るモンじゃねーんだからさ、揉ませてくれたって良いじゃねェか。
ーーあれ？乳の話になってね？
収拾のつかない自問自答を繰り返し、乳を凝視する。
そんな俺を知ってか知らずか、はたまたスルーを決め込んでいるのか。
Aは神妙な顔をして頭を下げる。
「この間はごめんなさい。銀時のこと何も考えずに私…」
「別にどうも思っちゃいねーよ。お前の気持ちは端から分かってたしな。差し詰め高杉のことで相談に来たんだろ？」
「ーー先日、小太郎に会ったの」
「ヅラと？」
「うん。その時小太郎が言っていたの。晋助が歌舞伎町にいるって」
高杉が歌舞伎町に？何の為にーー
おいおい。嫌な予感しかしないんですけど。
「お前…」
「うん。私ーー晋助に会いたい」
やっぱりな。
そう言うと思ったよ。
「わかってる。銀時に酷な依頼をしてること」
そう言ってAは分厚い茶封筒をテーブルの上に差し出す。
中身のお札が少しだけ露わになっているそれは、かなりの大金だということが見て取れる。
「お願い、銀時。晋助を探して」
切なる願いが込められた声音が、俺の胸を揺さぶる。
ーーハッ。
お前のこと吹っ切れたと思ってたのに、やっぱりお前は俺にとっての「過去」には成り得ないらしい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 221人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
宇治(プロフ) - 風寧さん» 風寧さん、こんにちは！宇治です。二度もコメントありがとうございます、嬉しいと言ってもらえてやる気滾ります。期待に応えられるよう頑張りますね！！これからもよろしくお願いします。 (2019年4月2日 18時) (
レス) id: c046a70699 (このIDを非表示/違反報告)
宇治(プロフ) - アガシャさん» 初めまして、宇治です。コメントありがとうございます。話数もだいぶ迫ってきましたので、続編という形を取らせていただきました。頑張ります…！今後ともよろしくお願いします。 (2019年4月2日 17時) (レス) id: c046a70699 (このIDを非表示/違反報告)
風寧 - 以前コメントさせて頂いた者です。続編のお知らせ、本当に嬉しいです！楽しみに待ってます！ (2019年4月2日 1時) (レス) id: 56908df3cc (このIDを非表示/違反報告)
アガシャ - 続編ですか！嬉しいです！頑張って下さい！ (2019年4月1日 14時) (レス) id: a554153f5f (このIDを非表示/違反報告)
宇治(プロフ) - 蓬さん» 初めまして、宇治です。嬉しいお言葉ありがとうございます。そう言ってもらえると、すこぶる執筆意欲が湧きます…！！今後の展開にご期待いただければ幸いです。ありがとうございました。 (2019年3月16日 20時) (レス) id: c046a70699 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：宇治 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/uji/
作成日時：2019年1月20日 14時
