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あなたに会えたら(2) ページ8

*


「ま、いたらこんなところで働いてねーか」

「…どういうことですか?」

「水商売なんて男がいたら黙ってねぇだろうからな。お前がここで働くのは何か理由があるんじゃねーのか?」




ーーさすがは副長。
洞察力や憶測が人よりも長けていらっしゃる。





「ーーなんてな。無粋なこと聞いたな。そろそろ帰るか」




吸っていた煙草を灰皿に擦り付けると、席を立ち近藤さんのところへ足を運ぶ。

その後ろを追いかけると、ボッコボコの突起物が顔のあちこちに散らばった近藤さんの憐れな姿が眼に映った。


最初のうちは酷い有様に慌てたものだが、今となっては妙ちゃんの微笑みすら恐怖を感じなくなった。
慣れって怖い。


同様に土方さんもその光景に気に留めることはなく、近藤さんの腕を自身の肩に回す。

抱えて歩く彼の後ろを付いて、お見送りに出た。





外に出ればすっかり雨も上がり、人通りが多くなったかぶきの夜の世界が目に入る。




「今日は近藤さんが迷惑かけたな」

「ふふ、いつものことですから」

「じゃあな」

「ーー土方さん!」



帰路につこうとするその後ろ姿に私は思わず声をかける。





「もし…もし、大切な人と一度会える機会を与えられたらーー土方さんならどうしますか?」






もし、晋助に会えたらーー

そんな考えを質問に重ねて、縋るように土方さんの答えを待つ。


最初は驚いていた土方さんだったが、しばらく目を伏せて考えたあと、




「…さあな」




水溜まりに映った星空を見つめて、こう言った。




「お前は後悔するなよ。俺みたいにな」




意味深な言葉を後に、彼は夜の街から消えていく。



ーー土方さんにも、きっと大切な人がいたのかもしれない。

だって見たこともないくらい優しい表情で、切ない瞳をしていたからーー。





「…晋助」




あなたに会えたらーーー私はなんて声をかけるのだろう。








「 あなたに会えたら 」
(あのときの後ろ姿が、恋しい)

儚い恋心(1)→←あなたに会えたら(1)



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宇治(プロフ) - 風寧さん» 風寧さん、こんにちは!宇治です。二度もコメントありがとうございます、嬉しいと言ってもらえてやる気滾ります。期待に応えられるよう頑張りますね!!これからもよろしくお願いします。 (2019年4月2日 18時) (レス) id: c046a70699 (このIDを非表示/違反報告)
宇治(プロフ) - アガシャさん» 初めまして、宇治です。コメントありがとうございます。話数もだいぶ迫ってきましたので、続編という形を取らせていただきました。頑張ります…!今後ともよろしくお願いします。 (2019年4月2日 17時) (レス) id: c046a70699 (このIDを非表示/違反報告)
風寧 - 以前コメントさせて頂いた者です。続編のお知らせ、本当に嬉しいです!楽しみに待ってます! (2019年4月2日 1時) (レス) id: 56908df3cc (このIDを非表示/違反報告)
アガシャ - 続編ですか!嬉しいです!頑張って下さい! (2019年4月1日 14時) (レス) id: a554153f5f (このIDを非表示/違反報告)
宇治(プロフ) - 蓬さん» 初めまして、宇治です。嬉しいお言葉ありがとうございます。そう言ってもらえると、すこぶる執筆意欲が湧きます…!!今後の展開にご期待いただければ幸いです。ありがとうございました。 (2019年3月16日 20時) (レス) id: c046a70699 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:宇治 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/uji/  
作成日時:2019年1月20日 14時

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