おもいびと（２） ページ38
*
いつだって、銀時は私の味方で。
昔から事あるごとに私のために動いてくれて。
言葉とは裏腹な優しさが、すごく嬉しかった。
けれど、それでも。
私は、彼を愛することが出来なかった。
結婚しようと決意し、偽りの想いを作り上げた。
��彼��を忘れるために。
��彼��との思い出にさよならをするために。
そこで気付いた。
「好き」という感情に、歯止めは効かないということ。
「後悔」という感情に、彼の背中が見え隠れすること。
晋助。
私はあなたと会うために、たくさんの宝物を捨てていく。
覚悟は出来てる。けじめもつけてきた。
ーーはずなのに。
「…ぐずっ」
やっぱり過去や思い出を捨てるのはあまりにも大きすぎて。
不安や恐怖に、我慢していた涙が溢れてしまう。
俯き泣きじゃくりながら途方に暮れていると、
「お嬢さん」
ふと、春の風が優しく私の頬を撫でた。
桃色の花弁がふわりと舞う。
私が追い求めていた懐かしい香りとともに目に入ったのは、紛れも無い。
艶やかで、儚くて。
まるで「桜」のように美しきその出で立ちに、想いが溢れる。
「何か悲しいことでもあったのか？」
「…さっき、大切な友達と泣き別れをしてきたの」
「ほう、そうかい。だったらその涙、俺に拭わせてはくれねェか？」
ーー来いよ、A。
桜の花がぱっと、開ききるように。
彼の微笑みが私の冷めきった心を華やがせ、不安を取り除く。
嗚呼ーーーやっと会えた。
込み上げる涙を胸に、華奢で一回り大きなその身体に勢い良く飛び込んだ。
「晋助、好き」
「知ってる」
「側にいていいの？」
「ダメなら迎えに来ねぇよ」
「うぅ〜」
「相変わらず泣き虫だな」
無骨な長い指が私の目元を優しく拭う。
泣き虫なのは、あなたの前だけ。
あなたがいるから、私は素直になれる。
あなたが微笑むその度に、
私はあなたに恋をする。
だから、私はずっとあなたについて行きます。
「 おもいびと 」
(初恋は、ずっとあなたの隣で)
→あとがき
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宇治(プロフ) - 風寧さん» 風寧さん、こんにちは！宇治です。二度もコメントありがとうございます、嬉しいと言ってもらえてやる気滾ります。期待に応えられるよう頑張りますね！！これからもよろしくお願いします。 (2019年4月2日 18時) (
レス) id: c046a70699 (このIDを非表示/違反報告)
宇治(プロフ) - アガシャさん» 初めまして、宇治です。コメントありがとうございます。話数もだいぶ迫ってきましたので、続編という形を取らせていただきました。頑張ります…！今後ともよろしくお願いします。 (2019年4月2日 17時) (レス) id: c046a70699 (このIDを非表示/違反報告)
風寧 - 以前コメントさせて頂いた者です。続編のお知らせ、本当に嬉しいです！楽しみに待ってます！ (2019年4月2日 1時) (レス) id: 56908df3cc (このIDを非表示/違反報告)
アガシャ - 続編ですか！嬉しいです！頑張って下さい！ (2019年4月1日 14時) (レス) id: a554153f5f (このIDを非表示/違反報告)
宇治(プロフ) - 蓬さん» 初めまして、宇治です。嬉しいお言葉ありがとうございます。そう言ってもらえると、すこぶる執筆意欲が湧きます…！！今後の展開にご期待いただければ幸いです。ありがとうございました。 (2019年3月16日 20時) (レス) id: c046a70699 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：宇治 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/uji/
作成日時：2019年1月20日 14時
