▫️幼き約束 - 2 ページ17
*
中学に入り、私達は付き合うことになった。
毎日一緒に帰って、休日は予定を合わせてデートしてーー
その頃の私達はお互い恥じらいながらも手を繋ぐことが精一杯だった。
玲王と一緒にいられることが楽しくて、毎日が充実していた。
ーーーけれど、そんな幸せも長くは続かなかった。
「悪い、A！今日一緒に帰れなくなった！」
「……今日も？」
勉強しなくちゃいけなくて、という言葉はこれで何度目だろうか。
玲王が御影コーポレーションの御曹司だということは、小さい頃から知っている。
けれど幼少期時代は単なるお金持ちくらいにしか理解が及ばず、深く実感したのはこの頃からだった。
「明日こそ一緒に帰れるから！」
父親の会社を継がなくちゃという使命感に追われていた玲王に嫌だなんて我儘をいえなくて。
頑張っている彼を応援するのが彼女の役目だと言い聞かせて、笑顔で送り出してあげていた。
でも結局、その明日は何日経っても来なかった。
そういう日が幾度となく続き、せっかくの休日もデートさえ出来なくて。
「……私、なんのために玲王と付き合ってるんだろう」
幸せって、なんだろう。
一緒にいることもままならず、自分の気持ちも言えずに我慢すること？
あれ？私って今……「しあわせ」なの？
そんな悶々とした日々が続く中で私の何かが弾けてしまった。
「A！今日は一緒に帰、」
「玲王」
喜んで私の元へ駆け寄ってくる彼を見ていて、今から放つ残酷な言葉を想像すると心が苦しくなった。
「…私達、別れよう」
口にすることが怖かったこの言葉は、重く私の心にのしかかる。
玲王の握り拳には震えが走っていた。
「なんでだよ…嘘だろ」
「……ごめんね」
「お前俺と結婚するんじゃなかったのかよ…お前の気持ちはそんなもんだったのかよ！！」
「私だって玲王とずっといたかった！！」
毎日玲王のことを考える日々。
幸せだったはずなのに、いつしか考えることさえも苦痛になっていて。
「玲王のこと…大好きだった…っ」
「A…」
「でも今は一緒にいることが辛い。ごめんなさい…っ」
一緒にいるのが当たり前だと思っていたのに。
その当たり前が身近になってしまったことで、こんなにも関係性が変わってしまう恐怖を知った。
互いに涙を流し合い、それからは以前よりも距離が遠のいていった。
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宇治(プロフ) - いのりさん» いのりさん、ご無沙汰しております♪お優しいお心遣い感謝です(泣)励みになります…まさかこんなにスランプに陥ると思っていませんでした…。凪くん楽しく執筆させていただきますね！ありがとうございます♪ (2023年2月17日 13時) (
レス) id: 7205c6bdcb (このIDを非表示/違反報告)
いのり(プロフ) - 宇治さん！こんにちは！スランプって大変ですよね…。ゆっくり宇治さんのペースで大丈夫ですよ！応援してます♡ (2023年2月17日 7時) (レス) @page26 id: 61b0845b42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：宇治 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/uji/
作成日時：2023年1月28日 17時
