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もうほとんど内容なんてわかんない。怖い怖い怖い。
なんなら効果音のとこなんて康二くんも「うわっ」ってなるし二重でビクビクする。
怖がってる人半分、笑ってる人半分でどうなってるのこれ。
やっと終わってはっと見ると康二くんのシャツが握っていたせいでくちゃくちゃになってる。
「ごめん、康二くん」と謝り離れようとしたら「ええから、このままおって?」と周りに聞こえるか聞こえないかの声で言われ、また抱きしめられた。
どうしようと思ってると「次これ観ようぜー」「ホラーはもうやめて」とワイワイしてる声がする。
大介「あれ、Aどうしたの?」
康二「疲れて寝ちゃったみたいやわ」
涼太「ラウ、何かかけてあげて」
そのままブランケットをかけられてる間も、心臓バクバクでどうしようとしか考えられなかった。
でも、頭を撫でるその手が。
この間一緒に作った香水の香りも。
康二くんの優しい声も。
全部、全部。
なにもかも。
————心地よかった。
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案の定、心地よくて、あったかくて・・・寝てしまった。
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目が覚めると自分のベッドだった。
「あ、起きた?」
隣を見るとユミがニコニコしていた。
「んー、また寝てた?私」
ユミ「康二くんが運んでくれたんだよ」
「なんかさぁ、康二くんといるといつも寝ちゃうんだよね」
ユミ「安心しちゃってる感じ?」
「そうかも。康二くんには申し訳ない話だけど」
ユミ「それって異性とは見てないってこと?」
「・・・わかんないんだよね、正直な話。
別に康二くんに何か言われたわけでもないんだけど。
今回集まったメンバー距離感近いっていうか・・・。
でも康二くんといると落ち着くんだよね。
心地いいっていうか。異性として見ちゃったらどうなるんだろう、私。別れたばっかでそんなつもりなかったのに。
亮平のこともあるし・・・」
枕に顔を埋めると
ユミ「え、亮平の話聞いてない!」
「言ってないもん・・・」
ユミ「言いなさいよっ」
「・・・恋愛対象としてみてほしいって昨日言われた」
ユミ「まじ?やっと言ったんだ」
「どういうこと?」
ユミ「研修の時から亮平Aのこと意識してんじゃないかなって思ってたから」
「聞いてないっ」
ユミ「言ってない。思ってただけだもん」
「言ってよ・・・」
ユミ「言うわけないじゃん。それに入社したら配属大阪だし」
「そうだよね・・・」
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作者名:kazu | 作成日時:2023年2月8日 16時