Snow drop (ページ28)

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帰りの電車は思ったより混んでいて、真っ直ぐ立つのがやっとだった。

電車が揺れるたびに周りの人たちとぶつかってしまいそうになる。
向かい合って立っていた亮平がふいに「ちょっとごめんね」と片腕を背中に回して抱きしめられるようなかたちになった。
「俺の服掴んでていいからね」と転ばないようにしてくれた。電車の中なので耳元で囁くように言われてしまい流石にドキドキしてしまう。
ああ、私耳真っ赤だろうな・・・とか亮平香水何つけてるんだろう、いい匂いとか、恥ずかしいことをつい思っていたら、
「Aいい匂いするね、香水？」と思ってる事と同じ事言われたので"なんで？心読めるの？？？"とか思って顔を上げると「ん？」という顔をしていて「ううん。多分香水かも」と顔を伏せた。

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駅から家までは好きな作家や大阪でのこと、こっちでの仕事の事など話してきたらあっという間に着いてしまった。

うちを見た亮平が「すご。」と一言。

お礼にお茶でもどう？と誘ったんだけど「こんな時間だし皆さんにご迷惑だからまた今度お邪魔させてもらうね」と言って来た道を引き返して行った。
手を振って見えなくなるまで見送り家に入ると、リビングからドタドタとラウールが走って来た。

「ねぇ！Aちゃん、今の誰？？」

「うお、びっくりしたー。何ー？」

「今の！Aちゃんが元カレじゃないイケメンと帰ってきたから！」

「元カレじゃないって・・ああ、一度会った事あったもんね。あのイケメンは会社の同期だよ」

「いい感じなの？」「は？」「付き合うの？」「はあ？」なんてやり取りしながらリビングに入ると皆んながおかえりーって言いながらも興味津々。康二くんだけはまた口を尖らせてる。
「ねぇAちゃん！」「ラウしつこい！亮平はただの同期でそれ以上でもそれ以下でもない！いい？終わり！」

着替えて手を洗ってリビングに戻ると、ラウと康二くんが蓮くんに両脇から抱きついていた。膝の上には飼い犬のリンまで。

「どしたの・・・」

蓮「Aちゃんが冷たいってさ」困り顔で笑ってる蓮くん。

「場所変わるわ・・・ほらラウ、リン」

康二「俺は？」

「なんで康二くんまで・・・まぁいっか。」

さっきまでの蓮くんと同じ体制になるとなかなか暑苦しい。よしよしと頭を撫でていると、バッとラウが顔を上げ「Aちゃんの匂いじゃない！」と言い出し、さっきの電車の事を思い出し耳が赤くなるのを感じながら「もう終わり！」と部屋へ戻った。