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ランチタイムの時間も近づき、お客さんも少しずつ多くなってきた。
私もバタバタと動き回る2人の手伝いをした。
「いつもこんなにバタバタするの？」
ランチタイムも終了し、３人で休憩のまかないランチをとりながら聞いた。
「いつもはもう少し少ないかな。今日は天気がいいからかもね」
「舘さんのランチうまいもん。だんだん口コミで増えてんねんで」
「へー。これもすごく美味しいもんね。涼太くんの料理は人を幸せにする力があると思う。だからだね」
「Aちゃんも幸せにしてあげるよ」
「康二もね」
涼太くんが微笑みながら言うから、本当にそうなるんじゃないかと思ってしまう。
「ご馳走様でした。私、あっち戻るね。あ、夕方から出かけるから涼太くん、今日夕飯いりません」
「うん、手伝いありがとう。気をつけていってらっしゃい」
「ありがとな」
「時間があればいつでも。じゃあ」
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出かける時間までまだ時間があるけど、なんだか落ち着かない。
ユウヤが仕事でいない間に一度部屋に忘れ物がないか見に行こう。
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マンションに着き部屋の鍵を開けた。
玄関には散乱している靴。
リビングのドアを開けると、あの時の光景を思い出し胃がキリキリと痛くなり吐きそうになる。
え・・・何。
私のものじゃない洋服等たくさん出しっぱなしになっている。
そうか、あの時の女の人のものか。
それにしても私がいた頃とは比べ物にならないほど乱雑な部屋。
クローゼットのある部屋に入り、大事なものがないか確かめた。
・・・幸いあの時に必要な大事なものは持ち出していて持って帰るものはなかったが、全てのものの位置が微妙に変わっていて誰かに一通り物色されたんだと言うことがわかった。
きっとあの女の人だろう。
それにも吐き気を覚えた。
一刻も早くここから出よう。
ここにはいられない。
早々にマンションを出て駅まで行ったが胃は痛いし吐き気はするしでホームのベンチで少し休んだ。
あまりに具合が悪そうにしていたせいか、通りかかったお姉さんが心配して水を買ってきてくれた。
「すみません、あの、お金・・・」財布を出そうとしたが手が震えて中々出せない。
「いいのよそれくらい、それより大丈夫？」と声をかけてくれた。
少し休めば大丈夫だからとお礼を言い、お姉さんは「お大事に」と電車に乗って行った。
水を持つ手がまだ震えているのに気づき、ひと口飲み深く息を吐いた。
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作者名：kazu | 作成日時：2023年2月8日 16時
