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真桜side
神田くんは優しい。
龍樹とは全然違う。
なんだか物足りない、そう思っている自分がいることに嫌気がさす。
神田くんを選んだのは私。
なのに、かつて戸村家だった家の前を通るたびに龍樹の部屋を見上げてしまうのはどうしてなんだろう。
私はまだ、恋をしているのだろうか。
恋してた、過去のことだ。
なんで神田くんを好きなのに、龍樹を思い出すんだろう。
そんなことを考えていたからだろうか。
「僕たち別れようか」
神田くんにそう切り出された時、私は頷いてしまった。
神田くんは、頷いて欲しくなかったのに。
私が頷かなければいいと思いながら私にそう言ったのに。
「どうして?」
その言葉がやっと切り出せたのは、別れようと言われて数十秒が経った時だった。
「騙したから。僕は戸村にあのデータを渡したんだ」
なんのデータの事を言っているのかすぐにわかった。
「そんなの、察してたよ」
「そっか」
「だから別れるの?」
「うん」
そうなんだ。
不思議と納得してしまった。
私たちは高校生。
互いの人生を背負う覚悟も力もないのだ。
どうして私の恋はうまくいかないんだろう。
毎回毎回、何かが邪魔をする。
龍樹の時は、私たちの差が。
神田くんの時は、龍樹の存在が。
失いたくないと思えば思うほど、それは離れていく。
幸せな恋がしたい。
心の底からそう願った。
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かぷりちお - コメントありがとうございます!亀更新ですが、完結は必ずしますので、気長に読んでくださると嬉しいです! (2018年8月24日 2時) (レス) id: 0810d4d9bb (このIDを非表示/違反報告)
G - 続き気になる (2018年8月22日 16時) (レス) id: cad32de435 (このIDを非表示/違反報告)
あいり - 続き書かれる予定はありますか、、、?設定が面白いので思わず読み入ってしまいました笑 (2018年8月22日 11時) (レス) id: 5cff57e74b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かぷりちお | 作成日時:2018年6月27日 19時