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「 あ"〜、オマエが今ここにいるならもういいわ、 」
"手の中に入れとけば、もう夢なんかで見ねぇだろ"と呟いた。意味がわからず困惑する私の頬を片手で掴んで彼の視線と交わるように上にぐっと向けた。
彼の発言も行動も意味が分からない中、"身長差、広がっちゃったなぁ、"なんて思っていた。
「 綺麗なとこにいてほしかったから手放したのに 」
無意識に小さな声で口から零れた彼の言葉。やっと彼の本音が聞けたと思った。こんな優しい顔できたんだ。
彼がいなくなったのは、綺麗なものだけ見て生きて欲しかったからだと、今更わかった私はバカだ。
あのとき、彼の手を引いていればよかった。居なくならないでって。
頬を掴んでいた手を離すと、彼は壊れ物を扱うかのようにそっと私の背中に腕を回した。
抱きしめ返して良いのか分からず、手のやりどころに困っていると、彼は更に少しだけ強く抱きしめてきた。
そっと抱きしめ返すと満足そうに「はは、」と笑った。
「 神様なんかいやしねぇんだから、今、オレに誓えよ 」
「 え、何を？ 」
「 結婚なんてできる身分じゃねぇだろ、オレもオマエも 」
「 そりゃあ、一般人じゃないし 」
「 約束した"お嫁さん"には多分してやれねぇけど、 」
昔の約束なんて、覚えてるような人じゃないくせに。
驚いて目をぱちぱちと瞬かせる私。
抱きしめられたときよりもバクバクと大きく音を立てる心臓。
彼の言葉とその意味が分かった瞬間、言いたいことは沢山あったはずなのに、それがひとつも出てこない。
「 病める時も健やかなる時もずっと愛してくれよ 」
彼が初めて真っ直ぐ目を合わせてくれた気がした。
12年越しに迎えにきてくれた彼が昔と変わらない顔で照れるのが懐かしくて、緊張していた頬が緩むのが自分でもわかった。
「 笑ってんじゃねぇよ 」
「 中学の頃はあんなに嫌いだって反抗してたくせに 」
「 今好きだって言ってんだから問題ねぇだろうがよ 」
三途が照れ隠しのように軽く怒り、そこから甘えたような拗ねたような表情を浮かべてこちらを見つめた。
「 Aは誓ってくれねぇの？ 」
「 春千夜が忘れてるくらい昔からずっと好き、愛してるよ 」
約束、忘れなくて良かった。
初恋は実らないなんて。
12年越しに実った初じめての恋はもうそれに当てはまるほど可愛くはないし、綺麗でもないかもしれない。
それでも。
「 だから、次は手を離さないでね 」
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Alice(プロフ) - きなこだいふくさん» 最後までお付き合いいただきありがとうございました…！そんな風に言っていただけて嬉しい限りです…！続編を作るかもしれないので、もし作った際はぜひよろしくお願い致します♡ (2022年4月2日 17時) (
レス) id: fa28fe383f (このIDを非表示/違反報告)
きなこだいふく(プロフ) - 完結おめでとうございます。とても面白い話がたくさんあり、私自身とても楽しく読み進めることができました。こんな神作をありがとうございます！そして、更新お疲れ様でした！ (2022年4月2日 11時) (レス) @page46 id: 90c5be706c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Alice | 作成日時：2021年9月19日 20時
