■ Inui Seisyu ページ23
.
○ 乾青宗 ＋12 D&D
私の通うバイクのお店『D&D MOTOR CYCLE SHOP』のドアをそっと押して開ける。
「こんにちは〜」
「お、Aちゃん。いらっしゃい！」
元気よく出迎えてくれたのはお店の店主のような存在の堅くん。実際店主かどうかはよく知らないが。
元々兄さんの知り合いで、兄さんがここを通っていることがきっかけで、私も今はここに直々お世話になっている。
「兄貴元気にしてるか？」
「最近は仕事が忙しいらしくて、ツーリングできないのが辛い…ってぼやいてましたよ」
「最近来てないと思ったら…… まぁ、仕事が順調で何よりだな」
「兄さんにも早くメンテしに来いって伝えておきますね」
「ははっ、楽しみに待ってるわ」
私には双子の兄がおり、堅くんはその兄とバイクの話で仲良くなったらしい。
バイクが好きな兄に、バイクを誕生日に無理やりプレゼントされ、呆れながらも乗ってみたら、思ってたよりも風が気持ちよくて楽しくなって、バイクの魅力に取り憑かれてしまった私。
そして兄にこのお店を紹介され、かなりの短期間で定期的にバイクのメンテナンスに来ている。
バイクに乗るようになったときに両親から女の子だし、危ないからと猛反対されたのだが、定期的にメンテナンスをすることなどの決まりをつけることで乗ることは許可してもらった。
兄にはそこまで厳しくなかったくせに、と呟いたときには「結婚前の女の子が顔に傷作ったらどうするの！それにお兄ちゃんは言うことは全く聞かないし、昔からバイクは乗ってるからあんまり心配してないのよ」などと1時間近く説教されたのは苦い思い出だ。
別に恋人なんて必要ないし、結婚なんて無理にするような時代でもないのにな。
堅くんと世間話に花を咲かせていると、奥の事務室の扉がパタンと閉まった音がした。
私が音に気付いて振り向くと、いつも無表情な彼が優しくこちらに向かって少しだけ口角を上げて微笑んだ気がした。
「Aさん、いらっしゃい」
ここのバイク屋さんには、火傷の痕があるが、とても綺麗なお兄さんがいる。堅くんの学生時代からの友人で、堅くんからは"イヌピー"と呼ばれているのをよく耳にする。
寡黙で真面目そうな人。髪は伸ばしているらしく、後ろ姿は一瞬女性かと見間違えるくらいに美しい。
私が堅くんと知り合いだったせいもあって、彼とは普段からあまり話したことはなかったが、お互いに顔は覚えているような関係だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 140人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Alice(プロフ) - きなこだいふくさん» 最後までお付き合いいただきありがとうございました…！そんな風に言っていただけて嬉しい限りです…！続編を作るかもしれないので、もし作った際はぜひよろしくお願い致します♡ (2022年4月2日 17時) (
レス) id: fa28fe383f (このIDを非表示/違反報告)
きなこだいふく(プロフ) - 完結おめでとうございます。とても面白い話がたくさんあり、私自身とても楽しく読み進めることができました。こんな神作をありがとうございます！そして、更新お疲れ様でした！ (2022年4月2日 11時) (レス) @page46 id: 90c5be706c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Alice | 作成日時：2021年9月19日 20時
