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「家まで送ってくれなくても別に大丈夫だよ?タカちゃん」

「もう暗いんだから危ねぇだろ」

「そんなに暗くないって」


2人で帰る帰り道は、友達と帰る帰り道よりも何となく充実感があって、些細なことで笑みが溢れてしまう。

いつも彼は夕方頃に帰ると、心配だから、と家まで送ってくれる。私たちそんなに家遠くないし、途中まで一緒だから大丈夫なんだけどな。
タカちゃんのそんな過保護なところですらもどうしようもなく好きな私は本当に彼に惚れているんだと実感する。


「タカちゃんは心配しすぎなんだよ〜」


車道側をさりげなくキープしつつ歩く三ツ谷にAは笑って言った。家に着くのが惜しく感じて、2人ともゆっくりと歩いて学校から遠ざかっていく。


「ンなことねぇっての。防犯意識低過ぎな」

「不良に防犯とか言われてもピンと来ないって」


笑いながら言うと、うるせとタカちゃんは私の額を小突いてくる。優しい顔。本当は私だけにそんな顔を向けてて欲しいことは秘密。


「私そんなに心配される程ちっちゃい子じゃないんですけど。私はタカちゃんの妹じゃないんですよ〜?」

「そんなのとっくの昔から知ってるわ」


屈託のない笑顔。落ちかけている夕日に照らされてキラキラ輝いて見える。好きになればなるほど、何をしていてもかっこよく見えてしまう。
知ってる、なんて言うくせに、私のことは妹を愛でるような目で見てるくせに。
でも、それでも彼を好きで好きで仕方がない私はもう手の施しようがない。


真っ直ぐ私に向いた笑顔にまたドキドキしてしまう。
片想いでいいなんて思っていたのに、その笑顔を、彼を独り占めしたくなってしまう。

彼が困るのも分かっているけれど、それでもやっぱり私のことをちゃんと"女の子"として見てほしい。
わがままだって、呆れられちゃうかも。


「私、そんなに子供っぽいかな、」


この思いをどうしたらいいのか分からず、思ったことがぽろぽろと口から溢れて零れる。
立ち止まった私につられて、タカちゃんも足を止めて、少し俯いた私の顔を下から覗いた。

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Alice(プロフ) - きなこだいふくさん» 最後までお付き合いいただきありがとうございました…!そんな風に言っていただけて嬉しい限りです…!続編を作るかもしれないので、もし作った際はぜひよろしくお願い致します♡ (2022年4月2日 17時) (レス) id: fa28fe383f (このIDを非表示/違反報告)
きなこだいふく(プロフ) - 完結おめでとうございます。とても面白い話がたくさんあり、私自身とても楽しく読み進めることができました。こんな神作をありがとうございます!そして、更新お疲れ様でした! (2022年4月2日 11時) (レス) @page46 id: 90c5be706c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Alice | 作成日時:2021年9月19日 20時

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