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5杯目 ページ9





ただ穏やかな時間だけが過ぎ雨が穏やかになった頃。
辺りは薄暗く、18時を迎えていた。
時間も時間だしそろそろ店を出た方がいいだろう。
あまり長いしてもあれだ。




「雨も穏やかになったのでそろそろ帰ります。服や、珈琲ありがとうございました。」




席を立ち、荷物をまとめる。
借りた服は部活終わりに喫茶店に持ってくることにした。
ゆっくりでいいと言ってくれたが早めに返した方がいい。



頂いた珈琲と、ココアの料金はいらないと先程言われた事を思い出し咄嗟に出した財布をしまう。見られていたのかクスクスと笑う彼女から目線を逸らした。



『少し、待っていてください』



慌てて思い出したかのようにカウンターの奥に小走りする彼女を見送りながら、スマホを見れば帰りが遅くなると両親から連絡が入っていた。連絡を忘れていたけれど、2人とも遅くなるなら送る必要はない。



タッタッタッと軽やかな足音に顔をあげれば、ビニール傘を抱えて彼女が帰ってきた。僕の前に差し出して、「どうぞ」と。



だいぶ緩くはなったがまだ雨はあがっていない。
借りるものが増えることに申し訳なくなるがここまでされれば1個も2個も同じだろう。ありがたく受け取った。



どうやら、扉まで見送ってくれるらしい。
そっと、扉を開けて、後ろを振り向く。



そういえば、名前言ってなかったなぁ。
まぁ、またここに来るわけだしその時に。



「ありがとうございました。」

『いえいえ、お気をつけて』




また今度。佐倉さん。



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作者名:琥珀糖。 | 作成日時:2023年6月26日 10時

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