4杯目 ページ8
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さて、どうしようか。
場所も、服も提供してもらって、今僕は入れてくれたココアを味わいながら、ちらりと珈琲を飲む彼女を盗み見る。
お互いに冷えた手を暖めるように両手でマグカップを持ち、ただ無言に飲み物を味わっている時間が流れる。
初対面でこれは気まずいはずだが、不思議と心地よい。このただ穏やかな時間がいつまでも続けばいいと感じながら口を開いた。
「服も、ココアもありがとうございました。」
『サイズがあって良かったです。スボンキツくないですか？』
突然話しかけたことにビクリと驚いたが、直ぐに彼女は穏やかにわらって僕のことを気にかける。
「はい。少し大きいですけど全然大丈夫なんですけど、僕を招き入れて怒られたりしませんか？」
『あー、、今日はマスターが居なくて、私一人だけなので大丈夫です！...あ、でもマスターには、ないしょでお願いします…笑』
「しー」と口に人差し指を当てながら少し困ったように笑う姿はどこか儚くて、ふわっと消えてしまいそうだった。
よくよく見れば彼女はかなり整っている顔だと思う。
ミルクティ色の髪と、ルビーのような瞳。
ぷっくりとした淡いピンクの唇。
じーと見つめていればパチと目が合う。
「服、今度来た時に返しますね。いついますか…？」
『えーと、明後日ならシフト入ってますよ？』
「部活あるので少し遅くなるかもしれないんですけど大丈夫ですか…？」
『急ぎじゃないので、いつでも大丈夫です！』
心地よい彼女の声が耳にすーっと入る。
テンポがいい会話に、気づけばふんわりと彼女は笑っていた。
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作者名：琥珀糖。 | 作成日時：2023年6月26日 10時
