声優界の末っ子夫婦の幸せな結婚生活【内田雄馬】

再会 ページ34

･


いつもと変わらない日常。


これは私が雄馬くんと付き合って半年が経ったぐらいの出来事。









ありがたい事にゲームのキャラクターの役を頂いた。私の演じる子は、男装アイドル、兄が居るが大嫌い。日常は女で、アイドルの時は男。



女の子よりも男の子の方が演じることの多い私は特に違和感を感じることなくキャストの顔合わせに参加した。




浦田｢〜役の浦田わたるです。宜しくお願いします。｣



『…わっくん！？』



浦田｢久しぶり風花。｣




懐かしい顔に驚き声を上げてしまった。至る所から視線を感じるがそれどころではない。旧友がいるのだ。




浦田｢風花、綺麗になって可愛くなったね｣



『声優デビューおめでと。』



浦田｢ありがと、あ、｣



『ん？』



浦田｢風花、やばいかも。｣



ふと、わっくんが申し訳なさそうにそう告げた。微かに廊下を走る音がする。何となく嫌な予感がした。



ﾊﾞﾝッ



勢い良く開かれた扉。それと同時に感じたぬくもりと、お日様のような匂い。私はこの匂いを知っている。




坂田｢風花ちゃん！！！｣




そう、彼だ。2人にあったのは何年ぶりだろうか。懐かしさを感じながら私が彼に抱きしめられ続けていた。




ふと、手首を誰かに掴まれて引き寄せられる。優しくて暖かくて陽だまりのような匂い。




雄馬｢えと、どちら様ですか、｣




浦田｢自己紹介遅れました。スワロウ所属の浦田わたるです。うらたぬきっていう名前で歌い手もしてます。風花とは昔の友達で｣



坂田｢初めまして。坂田明です。普段はあほの坂田。っていう名前で歌い手してます。｣



雄馬｢初めまして。アイムエンタープライズ所属の内田雄馬です。……風花ちゃんとお付き合いしています。｣




堂々と私との関係を伝えてくれた雄馬くんの姿に胸がキュッとなった。
驚いた表情をしながらも安心したようにフッと笑い｢おめでと｣とわっくんが言ってくれた。



坂田｢俺、まだ風花ちゃんのこと好きだから。｣




お願いだからさかたんは1回黙って。

・→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す