066 魔女の笑み ページ7
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嘗ては赤の国の王女様で、桜と負けず劣らずの美人と有名だった恭也の姉、『薊』
何故彼女がここまで醜くも美しい魔女になってしまったのかは誰にも分からず、今まで誰も紅蘭の森に立ち入った事はなかった。
「ふふっ…とうとう舞も使い物にならなくなったのよね。だから、次のお人形を探しに来たの…。そしたら、まさか桜姫と翼王子が居るだなんてねっ…!
本当、嬉しい誤算が起こったものだわ。ねぇ、遊びましょ?
滑降の暇潰しになりそうだわぁ」
「ふざけるなっ…!お前と遊んでいる暇などない!!
紅蘭の森の魔女、早くAに掛けた呪いを解くんだ!」
酷く取り乱した様子のタスクは、目に憎しみの色を滲ませて、剣の柄を握り締めアザミを睨んだ。
魔女のアザミは、人間を翻弄し自分の思い通りに騙されていく様子を見て楽しんでいる、悪趣味な魔女であり、桜に呪いを掛け殺めた憎き相手。
そんな憎き相手が目の前に居るとなれば、タスクがここまで取り乱すのも頷ける。
「……あらぁ、残念だわぁ?
ならぁ、……また一から、繰り返しましょぉ?」
アザミは妖しく微笑み、天高く手を翳すと呪文を唱え始め、その呪文が唱えられるにつれて紫色の妖しい光がアザミの周りを取り囲む。
“繰り返す”
アザミの言った言葉の意味は、よく分からない。
しかし、その光がAとタスクを包み、それにアヤも巻き込まれてしまったその瞬間、全ての記憶が消去されて、魂の失ったからくりの人形の様にガクリ、と倒れてしまった。
「―――――ああもぉ、もっと楽しませてくれると思ったのになぁ?」
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まお(プロフ) - なんか、ミステリーな感じもあってよかったなと思っています! (2016年5月10日 21時) (レス) id: c7b1f0d78b (このIDを非表示/違反報告)
みきちゃん - 私が桜姫で、タスクくんが翼王子 (2016年3月12日 16時) (レス) id: 565f860085 (このIDを非表示/違反報告)
みきちゃん - 薊ってもしかしてアヤちゃん!! (2016年3月12日 16時) (レス) id: 565f860085 (このIDを非表示/違反報告)
みきちゃん - 恭也?誰の事かな? (2016年3月12日 15時) (レス) id: 565f860085 (このIDを非表示/違反報告)
みきちゃん - 刹那ってもしかしてあの人かな? (2016年3月12日 15時) (レス) id: 565f860085 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小泉 海砂 | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2015年10月12日 21時