【バディファイト】前世との繋がり～第四章～ (ページ12)

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081　前世の桜達 (リクエスト・鈴音様) ページ12

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これはまだ、桜達が幸せ“だった”時の物語。

「…ねぇ、翼様？」

「なんだい？桜。随分と思い詰めた表情だね、悩み事かい？」

「いいえ違いますわ。…私ね、行ってみたい所がありますの」

翼に頭を撫でられながら、桜はその桃色の瞳で蒼く広がる青空のそれよりも遠くを見詰めながら翼に言う。

気持ち良さそうに顔を歪めながら、桜の話を静かに聞いている。

「…外の世界に触れてみたい…。城下に行きたいの」

「桜は、城下町に行ったことがないのか？」

「えぇ。私が行けるのは限られた場所だけなのです。

…、だから、こうして翼や文に出会えた事が何より嬉しいのです、…けれど、やっぱり外の世界には触れてみたいとは思うのです」

そう、桜は桜の国の次女として生まれ、国や王族である家の為に尽くすように育てられてきた為、それに関係のない城下の事など触れたことがなかった。

だから毎回文と遊ぶ度、文が笑顔を浮かべながら話す“城下町の話”が新鮮で楽しかった。

生まれた頃から城で育ち、必要最低限の情報は与えられず、外の世界に出る時も籠の中。

大国の姫として当たり前のことなのだが、確かに苦痛だ。

「…、そうか。……じゃあ桜、今から行ってみようか」

「ええっ…？翼様？」

「大丈夫。召す物も変えて髪も変えれば、気付かれないだろうから。

自分の足で歩いて城の外を見てみたいんだろう？愛しい女性(ひと)の願いを叶えてあげるのは王子として当然のことだからね」

「…、まぁ…」

桜の表情が自然と綻んだ。

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